育苗箱全量施肥密植栽培による高品質・良食味米の安定生産技術 |
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[要約] |
中苗「あきたこまち」の育苗箱全量施肥密植(24.2株/m2)栽培により、主茎と第3〜6号1次分げつ主体に穂数を確保できることから、整粒歩合が高く、玄米タンパク質含有率が低い高品質米の生産が可能である。
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[キーワード] |
あきたこまち、育苗箱全量施肥、密植、整粒歩合、玄米タンパク質含有率
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[背景・ねらい] |
中苗「あきたこまち」において主茎と第3〜6号1次分げつは、2次分げつに比べ収量・整粒歩合が高く、玄米タンパク質含有率が低い(金ら、2003年)。また、育苗箱全量施肥を用いた栽培は初期から茎数が少なく推移し、有効茎歩合が高まる(金田、1996年)ことから第3号1次分げつと2次分げつの発生が少ないと考えられる。これらのことから育苗箱全量施肥密植栽培により主茎と第3〜6号1次分げつを主体に穂数を確保し、気象変動下において整粒歩合が高く、タンパク質含有率の低い玄米の安定生産を図る。
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[成果の内容・特徴] |
- 育苗箱全量施肥密植栽培は育苗箱全量施肥専用肥料「苗箱まかせ(LPS100)」を用いて育苗を行い、中苗を4個体/株、栽植密度24.2株/m2で移植する。追肥は行わない。
- 育苗箱全量施肥栽培は、有効穂が主茎と第3〜6号1次分げつである割合が高く(表1)、有効茎歩合が高い傾向にある(表2)。
- 育苗箱全量施肥栽培は第3号1次分げつの有効穂が少ない(表1)。4個体/株植で主茎と第3〜6号1次分げつを主体に目標穂数(415〜450本/m2)を確保するため密植(24.2株/m2)を行う。
- 育苗箱全量施肥密植栽培は整粒歩合が高く、玄米タンパク質含有率は低い。収量、穂数、総籾数、登熟歩合、千粒重は慣行栽培と同等で、目標収量(57kg/a)をほぼ確保できる。また、玄米生産効率が高く、収量及び収量構成要素(登熟歩合を除く)の年次変動が小さい。(表2)
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[成果の活用面・留意点] |
- この栽培方法は中苗に適応する。1株あたり4本を目標に植え付け本数を調節する。
- 施肥量は圃場条件によって調整する。育苗箱当たりの肥料量は単位面積当たりの育苗箱使用枚数から計算する。
- この結果は育苗箱密植栽培は播種量100g/箱(乾籾換算)、施肥量N0.5kg/a、追肥無し。慣行栽培は播種量100g/箱(乾籾換算)施肥量;基肥N0.5kg/a、減数分裂期追肥N0.2kg/aで得られている。
- 登熟期間の気象は2002年の前半が低温寡照、後半が高温多照。2003年は低温寡照、2004年は前半が平年少照、後半は低温寡照であった。(表3)
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[具体的データ] |



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[その他] |
研究課題名 |
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気象変動に対応した良食味米の高品質生産技術の確立 |
予算区分 |
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県単 |
研究期間 |
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2002〜2004年度 |
研究担当者 |
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三浦恒子、金和裕、佐藤馨、柴田智、林雅史、真崎聡 |
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