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青臭みやえぐ味が少なく豆乳に好適なだいず新品種「きぬさやか」(東北151号)

[要約]

だいず「きぬさやか(東北151号)」は晩生の早で中粒、白花で、モザイクウイルスに強い。青臭みの原因であるリポキシゲナーゼと強いえぐ味を呈するグループAアセチルサポニンを欠失し、豆乳や豆腐の加工適性は良好で、豆乳はすっきりした味わいである。

[キーワード]

ダイズ、リポキシゲナーゼ、グループAアセチルサポニン、青臭み、えぐ味

[担当]

東北農研・水田利用部・大豆育種研究室

[連絡先]

電話0187-75-1084、電子メールyumoto@affrc.go.jp

[区分]

東北農業・畑作物、作物・夏畑作物

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

最近、大豆加工食品のなかでも豆乳は消費量が急速に増大している。しかし、豆乳では、大豆特有の青臭みやえぐ味を感じやすく、嗜好性を低下させており、これらの原因となる成分を低減した品種の開発が待望されている。そこで、青臭みの原因であるリポキシゲナーゼを欠失し、えぐ味の主要因であるサポニン組成を改良した品種を育成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 「東北151号」は、青臭みの原因であるリポキシゲナーゼを全て欠失した「刈系508号」を母、強いえぐ味を呈するグループAアセチルサポニン欠失性の「刈交0459F1」(A-b(F)-A0/スズユタカ)を父として人工交配を行い、以後、選抜・固定を図り、育成した系統である。2004年における世代はF12である。
  2. 成熟期は“晩生の早”で、収量は「スズユタカ」よりやや低収、子実は中粒で外観品質は「スズユタカ」並である(表1)。
  3. 子実中の全てのリポキシゲナーゼ(L-1、L-2、L-3)とグループAアセチルサポニンを欠失している(図1)。
  4. 豆乳や豆腐加工適性は良好で(表2)、豆乳や豆腐は青臭みやえぐ味が少ない(表3)。豆乳はすっきりした味わいである。
  5. ダイズモザイクウイルスに強いが、ダイズシストセンチュウには弱い(表1)。
  6. 胚軸色が緑で花色は白であり、栽培時に他品種との識別性が高い。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本品種を原料とする大豆加工食品は食品メーカーと共同で特許(第3567156号)を取得しており、それらメーカーにより本品種を利用した大豆加工食品の商品化が計画されている。
  2. 本品種を加工食品の原料として使用するには特許権保有者の許諾が必要である。
  3. 栽培適地は東北南部である。
  4. ダイズシストセンチュウ抵抗性を持たないため、連作やセンチュウ汚染圃場での栽培は避ける。
  5. リポキシゲナーゼ欠失等の子実成分特性を損ねることのないよう、本品種単独の集団栽培を行うとともに、収穫・調整時に異品種が混入しないよう、純度管理を徹底する。

[具体的データ]

[その他]

  • 研究課題名: だいずの新品種の育成
  • 課題ID: 05-02-06-01-01-04
  • 予算区分: 交付金
  • 研究期間:1993〜2004年度
  • 研究担当者: 湯本節三、高田吉丈、河野雄飛、加藤 信、島田信二、境 哲文、島田尚典、高橋浩司、足立大山、田渕公清、菊池彰夫