ソルガムのカドミウム吸収量は水溶・交換性及び無機物結合性カドミウム濃度と相関が高い
[要約]
栽培前土壌中の水溶・交換性カドミウム(Cd)濃度、無機物結合性Cd濃度及び2形態の合計はソルガムのCd濃度及びCd吸収量と相関が高い。
[キーワード]
ソルガム、カドミウム、土壌環境浄化、ファイトレメディエーション、形態別カドミウム濃度
[担当]
東北農研・地域基盤研究部・土壌環境制御研究室
[連絡先]
電話019-643-3464、電子メールokadat@affrc.go.jp
[区分]
東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
低レベルのカドミウム(Cd)汚染土壌は広大な面積であるため、健全な農地によみがえらせる方策として、従来の客土に替え、経済的でかつ環境にやさしいファイトレメディエーション(植物を利用した土壌環境浄化)手法が推奨されている。しかし、従来の知見では植物によって吸収されるCd量と土壌中Cd濃度との間に必ずしも相関関係が成立しないため、ファイトレメディエーションによるCd除去効果の推定が困難となっている。 そこで、ソルガムによるファイトレメディエーション(Cd除去)の評価法を検討するため、土壌中の形態別Cd濃度に着目し、易吸収形態を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 供試したCd汚染水田土壌の作土10点の形態別Cd濃度は、概ね、水溶・交換性Cd>無機物結合性Cd>有機物結合性Cdとなり、土壌タイプに関わらず、水溶・交換性及び無機物結合性Cdが主要な形態である(表1)。
- ポット栽培試験におけるソルガムのCd濃度及びCd吸収量は、栽培前土壌中の水溶・交換性Cd濃度及び無機物結合性Cd濃度と相関が高く、その2形態の合計との相関も高い(表2)。
- 栽培前土壌中の水溶・交換性及び無機物結合性Cdの合計量が多いほど、ソルガムのCd吸収量が多くなる(図1)。
[成果の活用面・留意点]
- 栽培前土壌中の上記2形態の合計Cd濃度からソルガム地上部のCd吸収量を推定できる可能性がある。
- ポット栽培試験による結果であるため、圃場レベルでの検証が必要である。
[具体的データ]
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