角形コンテナサイロによる地ビール粕の貯蔵・利用技術
[要約]
市販のプラスチック製角形コンテナを用いた簡易サイロで、発酵品質の良好な地ビール粕サイレージを調製・貯蔵できる。この角形コンテナサイロは、地ビール粕サイレージの運搬容器としてそのまま利用できる。
[キーワード]
地ビール粕、飼料資源、飼料利用、コンテナ、サイレージ、サイロ
[担当]
東北農研・総合研究部・総合研究第2チーム
[連絡先]
電話019-643-3412、電子メールmamat@affrc.go.jp
[区分]
東北農業・畜産、畜産草地、共通基盤・総合研究
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
平成6年の酒税法改正に伴い、全国に地ビール製造事業所が数多く生まれ、平成14年現在で事業所総数は220以上にのぼる。北東北における食品リサイクルに関する調査結果によれば、地ビール製造事業所から排出される地ビール粕は飼料利用の実績はあるものの、保存性に難があるため、しばしば畜産農家に敬遠されることが問題となっている。地ビール粕の通年的、安定的な飼料利用を図るには、実状に応じた簡易な貯蔵・利用技術を開発する必要がある。
[成果の内容・特徴]
- 角形コンテナサイロは、移動用キャスター(市販品)を装着し、排汁口(本体の付属品)を付けたコンテナ本体(市販品、容量300〜500L)、周囲に密着資材(市販のすき間テープなど)を貼り巡らした蓋(本体の付属品)、ゴムベルト(市販品あるいは自転車のゴムチューブ)からなる(図1、写真)。
- コンテナ本体に地ビール粕を詰めて蓋を被せ、ゴムベルトで締めて密封すると、4日程度で地ビール粕サイレージができる。地ビール粕サイレージの発酵品質は良好で、密封後少なくとも約3週間は保存できる(表)。
- 地ビール製造事業所で角形コンテナサイロに地ビール粕を詰め、密封したまま畜産農家まで車両で運搬する。畜産農家で地ビール粕サイレージを家畜に給与し、空になった角形コンテナサイロを再び地ビール製造事業所に戻す(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 小規模な地ビール製造事業所(年間生産量100kL程度以下)のビール粕処理技術、畜産農家の飼料調製技術として活用できる。
- 角形コンテナサイロの資材費はおよそ11万円である。
- 地ビール粕を詰めた角形コンテナサイロの積み下ろしには、フォークリフトなどの作業機が必要である。
- 地ビール粕サイレージは好気的変敗が起こりにくいが、開封してから1週間以内に使い切ることが望ましい。
[具体的データ]
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