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飼料用トウモロコシ畑に蔓延したヒルガオ防除には播種前年の秋耕が有効

[要約]

ヒルガオが蔓延した圃場では、前年の2回の秋耕と慣行のアトラジン・メトラクロール剤の土壌処理で飼料用トウモロコシ収量への影響はほとんどなくなり、ヒルガオはほぼ消滅する。1回の秋耕でも上記除草剤処理と栽培期間中の中耕でヒルガオは防除できる。

[キーワード]

多年生雑草、飼料用トウモロコシ、ヒルガオ、秋耕、中耕

[担当]

東北農研・畜産草地部・飼料生産研究室

[連絡先]

電話019-643-3564、電子メールfushimi@affrc.go.jp

[区分]

東北農業・畜産、畜産草地、共通基盤・雑草

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

ヒルガオは蔓生の多年生雑草であり地下茎で蔓延する。飼料畑では1995年頃から全国的に難防除雑草として認識されている。ヒルガオが飼料用トウモロコシ畑に蔓延した場合、非選択性除草剤の茎葉処理や、慣行の土壌処理剤と茎葉処理剤による体系処理が必要となるが、前者ではトウモロコシの作付期間の短縮、後者では薬剤費の増大や農繁期の作業増加が避けられない。そこで、慣行のアトラジン・メトラクロール剤の土壌処理とトウモロコシ播種前年の秋耕を組み合わせて、東北地域の慣行的な栽培体系を変更することなく、ヒルガオを防除する。

[成果の内容・特徴]

  1. 耕深10cmの秋耕によって地下茎は細断されるため、飼料用トウモロコシ播種時期には、ヒルガオの面積あたりの発生個体数や地上部重は増加がみられるが、個体あたりの地上部重および草高は抑制される(表1)。
  2. 秋耕を行わない場合には、慣行のアトラジン・メトラクロール剤の土壌処理だけでヒルガオを防除することはできないが、秋耕を行うと飼料用トウモロコシ栽培期間中のヒルガオは減少し、収量への被害は軽減される(表2)。ヒルガオは10月の2回耕起、または10月と11月の2回耕起でほぼ消滅するが、1回の耕起では耕起時期に拘わらず消滅させることはできない(表2)。
  3. 栽培期間中の中耕は飼料用トウモロコシの収量性向上には寄与しないが、中耕と秋耕とを組み合わせれば、1回の秋耕でヒルガオをほぼ消滅させることができる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 飼料用トウモロコシの1年1作地域でヒルガオが蔓延した場合、既存の機械と慣用除草剤で栽培体系を変更することなく、ヒルガオを防除できる技術である。
  2. 地下茎がロータリ等へ付着し拡散の原因となるため、耕起後は作業機についた土をしっかり落としてから別の圃場へ移動する。

[具体的データ]

   
 

[その他]

  • 研究課題名: 飼料畑における多年生雑草の蔓延防止技術の開発
  • 課題ID:05-05-01-01-07-04
  • 予算区分: 交付金
  • 研究期間:2002〜2004年度
  • 研究担当者: 伏見昭秀・魚住 順・田中 治・出口 新
  • 発表論文等:伏見 (2003) 農業および園芸78(11):1206-1211