水浸漬によるソバ穀実中のGABA(γ−アミノ酪酸)含有量の変動
[要約]
ソバを水に浸漬するとGABA(γ−アミノ酪酸)含有量が増加する。浸漬開始から12時間以上の含有量は、同じ処理を行ったコメの含有量を大きく上回る。
[キーワード]
GABA、γ−アミノ酪酸、ソバ
[担当]
東北農研・作物機能開発部・品質評価研究室
[連絡先]
電話019-643-3513、電子メールohsimizu@affrc.go.jp
[区分]
東北農業・流通加工
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
現在、ソバ等雑穀類が持つ食物繊維・ミネラル等が評価されるようになり、地域興しの為の特産物として注目されている。一方、コメやコムギ等において、血圧降下作用があるGABA(γ−アミノ酪酸)生成に関する研究が進み、発芽玄米等GABAを多く含む食品が実用化されている。しかし同じく穀類のソバについては、「寒ざらしソバ」等一部の製品についてGABA含有量が報告されているが、詳細なGABA含有量の変化に関する報告は少ない。そこで、ソバの水浸漬によるGABA含有量の変動について検討することにより、ソバに新たな商品価値を付加するための情報を提供する。
[成果の内容・特徴]
- 供試したソバは、東北農業研究センターで栽培された「でわかおり」「最上早生」「岩手中生」「階上早生」の玄ソバである。供試したコメは、東北農業研究センターで栽培された「アキタコマチ」の玄米である。
- ソバ穀実を、温度を変えて水に浸漬、60℃で24時間乾燥後粉砕し、籾殻を篩って除去したそば粉について、生成し残留したGABAの含有量を調査した。ソバ穀実中のGABA含有量は、浸漬する水の温度が高くなるにつれて増加し、30℃で最も多くなる(図1)。
- 30℃の水に時間を変えて浸漬し、浸漬時間の違いによる変化を調査した。ソバ穀実中のGABA含有量は長く浸漬すると増加し、6時間後に同じ処理を行ったコメの含有量を上回り、24時間後にはコメの2倍以上に達する。また増加量の品種間差は小さい(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 水浸漬によりGABA含有量が増加したソバを使用することにより、GABAに富むソバ食品を作ることが出来る。
- 使用する材料の生産年次や収穫後の保存状況により、ソバ穀実中のGABA含有量が異なってくる可能性がある。
- 30℃で12時間以上浸漬を行った場合、アンモニア臭等が発生するので、食品への使用に際しては注意する必要がある。
- 玄ソバは、微生物によって汚染されている場合があり、水浸漬することで増加する可能性がある。よって食品への使用に際しては注意が必要である。
[具体的データ]
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