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イチゴ品種「北の輝」の越年苗を用いた夏どり栽培における苗養成法

[要約]

イチゴ品種「北の輝」の越年苗を再び花芽分化可能な苗にするには、2月下旬から無加温ハウス内で養成して新たに葉を6枚展開させればよい。これを遮光率75%寒冷紗でのトンネル被覆または短日処理すれば、花芽分化した苗が6月中旬以後に得られる。

[キーワード]

イチゴ、北の輝、夏どり、越年苗利用

[担当] 岩手農研セ・園芸畑作部・野菜畑作研究室
[連絡先] 電話0197-68-2331、電子メールCE0008@pref.iwate.jp
[区分] 東北農業・野菜花き
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 一季成り性品種を用いたイチゴの夏どり作型は、6月に花芽分化した苗を定植する必要があり、当年苗では困難であるため、ポット苗で越冬したイチゴの越年苗を用いた夏どり栽培法が開発されている。しかし、休眠覚醒した苗は花芽分化しにくい期間があり、再び花芽分化能力を獲得させるためには冬期間に加温して苗養成する必要がある。

 そこで、本栽培法における苗養成環境と花芽分化の安定性について調査を行い、無加温パイプハウスでの苗養成法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. イチゴ一季成り性品種「北の輝」を用いた夏どり栽培における越年苗利用による苗養成は無加温パイプハウスで実施できる。
  2. 本法に用いる苗は、9月に12cm径ポリポットに鉢受けし、露地積雪下で越年させた苗(越年苗)とする。この越年苗を2月下旬から2〜3重被覆した無加温パイプハウス内で、新たに6枚以上の葉が展開するまで養成することにより、休眠覚醒後に再び花芽分化できる苗となる(図1)。
  3. 上記2.で得られる苗に5月に短日処理または遮光率75%の寒冷紗でトンネル被覆することにより、6月中旬以降に花芽分化した苗を得ることができる(表1)。
  4. 無加温ハウス内での必要日数は約80日間で、この間に発生した花房は除去する。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本栽培法によって得られた果実の商品1果重は7.7〜7.9gで、Brix糖度は8〜10%である(表2図2)。1果重の向上を図るためには、さらに冷涼な環境で栽培する必要があり、栽培適地や栽培方法について検討する必要がある。
  2. 品種「北の輝」のほか、「さちのか」でも本手法で同様に花芽分化苗が得られることを確認している。
  3. 剥皮法によって花芽分化を確認後、栽培圃場に定植する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 東北北部内陸地域における夏秋どり新作型の開発
課題ID 05-04-02-05-38-04
予算区分 寒冷地イチゴ
研究期間 2003〜2004
研究担当者 山田修、土田典子