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養液栽培イチゴ第1腋花房に及ぼす定植から開花期の気温と培養液濃度の影響

[要約]

高温期、特に日中の高温は、養液栽培イチゴの生育を旺盛にし、第1腋花房の開花期が遅れる。培養液濃度が高いほど開花期が遅れ、高温期でその傾向が著しい。定植から開花期までは、培養液濃度0.4〜0.8dS/mとし、気温管理は日中25℃夜間7℃に設定するのが適する。

[キーワード]

イチゴ、養液栽培、培養液濃度、温度管理、開花

[担当] 宮城農園研・園芸栽培部・野菜チーム
[連絡先] 電話022-383-8132、電子メール marc-kk@pref.miyagi.jp
[区分] 東北農業・野菜花き
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 イチゴ促成栽培においては、定植期から開花期までに(9月上中旬〜10月下旬)適度な草勢を確保しつつ、同時に第1腋花房の花芽分化を進める必要がある。セルトレイの普及や、暖冬や冷夏など、通常年とは異なる気象条件の頻発によって、この時期の気温と培養液管理がこれまで以上に重要となっているがこれらが第1腋花房に及ぼす影響を調べた報告は少ない。そこで、本実験では、イチゴ高設養液栽培において、定植後の温度条件と培養液条件を組み合わせて第1腋花房の開花期と生育、着果数に及ぼす影響を解明する。
[成果の内容・特徴]
  1. 気温が高いと、第1腋花房の開花期が遅れ、特に日中の高温の影響が大きい(表1表2図1)。
  2. 培養液濃度が高いほど、第1腋花房の開花は遅れ、気温が高いとその傾向は顕著となる(表1図1)。
  3. 気温が高いほど葉柄長は大きくなり、草勢は旺盛になる(表1)。
  4. 気温が腋花房の着果数に及ぼす影響は培養液濃度によって異なる。EC0.8dS/mでは、気温が高く、葉柄長が大きいと、着果数は減少する。EC0.4dS/mの場合には、気温が低い25℃/7℃区では、葉柄長が小さく、着果数は少ない。EC1.2dS/mの場合には、25℃/18℃区、30℃/7℃区で着果数が多い(表1)。
  5. 第1腋花房の開花日および着果数から判断すると、定植から開花期までの培養液濃度は0.4〜0.8dS/mとし、気温管理は25℃/7℃区が適すると考えられる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 実験データは夜冷短日処理を行って、9月上旬に定植した作型のものである。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 新品目と大規模利用に対応した宮城型養液栽培システムの改良
予算区分 県単
研究期間 2003年度
研究担当者 岩崎泰永、漆山喜信