糖・ビタミンCの豊富なホウレンソウとコマツナを作るための気温管理 |
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[要約] |
ホウレンソウ、コマツナ栽培において、収穫前10日間の平均気温を2℃以下で 低く管理すると、両作物の糖、ビタミンC含量を大きく高めることができる。
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[キーワード] |
気温、ホウレンソウ、コマツナ、糖、ビタミンC
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[背景・ねらい] |
ホウレンソウやコマツナでは、冬期の寒さに遭遇させることにより、糖とビタミンC含量が豊富になることが明らかにされている。しかし、どの程度の期間、どの程度の寒さに遭遇させれば、糖やビタミンC含量が大きく増えるのかは明らかにされていない。そこで、糖やビタミンC含量の豊富なホウレンソウやコマツナを生産するための収穫前のハウス内の気温管理法を明らかにする。
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[成果の内容・特徴] |
- 収穫前の気温と糖、ビタミンC含量との関係から得られた決定係数は、最低気温と平均気温において、収穫前日から収穫前10日間まで大きくなり、その後はほぼ平衡状態になる。このことから、収穫前10日間の最低気温ないしは平均気温が糖、ビタミンC含量に大きく影響する(表1)。
- 収穫前10日間の平均気温が10〜20℃の範囲では糖、ビタミンC含量は変動しないが、収穫前10日間の平均気温が10℃以下では、平均気温が低くなるほど糖やビタミンC含量が直線的に増加し、2℃以下で両成分含量が十分高くなる(図1、2)。
- 糖とビタミンC含量の豊富なホウレンソウ、コマツナを生産するためには、収穫前10日間の平均気温で2℃以下の寒さに遭遇させると良い(図1、2)。
- この気温管理は10月中旬に播種し、寒冷地の厳寒期(1〜2月)に出荷する作型で可能となる。
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[成果の活用面・留意点] |
- 安定して糖、ビタミンC含量の高いホウレンソウやコマツナを出荷するためには、両作物が収穫できる大きさに育ってからハウスサイドを開放する。
- ハウスサイドなどを開放する場合、強風で作物が傷むのを防止するため、ハウスサイドに防風ネット(ナイロン製、目合0.6〜1mm)を設置する。
- 急に寒さにあてると作物が障害を受けるおそれがあるので、ハウスを開ける日は、強い寒波の日を避ける。
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[具体的データ] |



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[その他] |
研究課題名 |
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冬期ニュータイプ野菜の生産技術の確立 |
予算区分 |
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県単 |
研究期間 |
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1995〜1999年 |
研究担当者 |
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田村晃、田口多喜子 |
発表論文等 |
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田村晃(2003) 寒じめホウレンソウ栽培暦.JA北央、北秋田普及セ.秋田農試
田村晃(2004) 栽培期間中の気温がホウレンソウおよびコマツナの糖とビタミンC含量に及ぼす影響. 園芸学研究. 3(2): 187-190. |
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