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スイカの葉巻タンソ発生を軽減し果実内部品質を向上させる栽培法

[要約]

透明マルチ、UVカットでない資材のトンネル、被覆肥料追肥、4番花着果の組み合わせにより、果実成熟期における葉巻タンソの発生が軽減される。この場合、収穫果実のうるみ果発生が少なく、糖度が上昇しやすい。

[キーワード]

スイカ、生理障害、葉巻タンソ、うるみ果

[担当] 山形園試・野菜花き研究部、環境研究部
[連絡先] 電話0237-84-4125、電子メールengei@pref.yamagata.jp
[区分] 東北農業・野菜花き(野菜)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 スイカには着果期以降、下位葉や着果節位葉付近の葉身が黄白化し、極端な場合には葉が表側に湾曲したり葉脈を残して褐変枯死する生理障害が発生する場合がある。この症状は通称「葉巻タンソ」と呼ばれ、程度により果実の品質低下を招くことがある。そのため葉巻タンソの発生を軽減し、果実品質を向上させる栽培法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. トンネル内外のマルチには透明タイプを使用する。黒マルチ使用に比べて萎れが少なく、葉巻タンソの発生が少なくなるか又は収穫果数が増える(表1)。
  2. トンネル資材には農ビや農POを使用する。UVカット農ビを使用した場合ほどには初期生育は旺盛ではないが、根量が多く、葉巻タンソの発生が少なくなる(表1)。
  3. 追肥は、被覆隣硝安加里40日タイプを用いて、着果約10日前に約2kgN/10aをトンネル外に散布し、約10cm耕起しマルチ被覆を行う。トンネル外での根量と葉身重が増加し、葉巻タンソの発生が減少する(表1)。うるみ果の発生が少なく、糖度も上昇しやすい(表1)。
  4. 着果節位は4番花とする。3番花着果より葉巻タンソの発生が減少する(表4)。
  5. 葉巻きタンソの発生が少ないほど、葉身の全糖含量が高い(表3)ことから、葉巻タンソは糖の合成・代謝と密接な関係がある症状と考えられる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 上記技術が葉巻タンソの発生を軽減する精細なメカニズムに関しては未解明である。
  2. 追肥に速効性肥料を用いなかった理由は、体内糖含量が低下する可能性があるためである。(平成6年度東北農業研究成果情報:メロンの生理障害『うるみ果』の発生を軽減する施肥法と体内栄養条件)
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 主要野菜の産地維持緊急対策技術開発プロジェクト
予算区分 県単
研究期間 2002〜2004年度
研究担当者 中西政則、鈴木勝治、齋藤克哉、佐藤之信、石山久悦