研究所トップ研究成果情報平成16年度

南東北に適する寒締め野菜の新規品目

[要約]

南東北の2月上旬以後の寒締め処理で、アブラナ科、キク科、アカザ科の各野菜の糖度は上昇する。生育、外観、食味等による南東北での寒締め適応性は、コスレタス「コスタリカ2号」、ホウレンソウ「サラダボウレンソウ」、カブ「スワン」が高い。

[キーワード]

寒締め、野菜、品目、品種比較、糖度、食味

[担当] 福島農試・野菜部、種芸部
[連絡先] 電話024-932-7786、電子メール noushi.aac@pref.fukushima.jp
[区分] 東北農業・野菜花き(野菜)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 寒締め野菜は、植物を低温条件にすることで糖やビタミン等の内容成分を高めたものであるが、適応する品目がホウレンソウとコマツナに限定されており、新規品目の検索が求められている。また、寒締め野菜の産地は青森県、岩手県、秋田県等の冬期間が寒冷な地域であり、より気温の高い地域での効果は明らになっていない。

 そこで、東北地方の中では冬期間の気温が比較的高い福島県において、アブラナ科、キク科、アカザ科の野菜計24品種に対する寒締め適応性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. ハウスの側窓を開放して植物を低温にあてる寒締め処理により平均地温を概ね5℃以下にすると、ホウレンソウ、コマツナ以外の野菜でも糖度(Brix%)が上昇する(図1表1表2)。
  2. 冬期間の気温が比較的高い南東北地域でも寒締め処理の効果がある(表2)。
  3. 障害発生、外観、糖度(Brix%)の上昇、食味等の商品性から、レタス‘コスタリカ2号’、ホウレンソウ‘サラダホウレンソウ’は南東北での寒締め適応性が特に高く、カブ‘スワン’等も適応性が高いと判断できる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、福島県郡山市において2004年2月4日から17日まで寒締め処理して得たものである。
  2. 地温の変動が大きいプランターでの試験であるため、寒締め処理の効果が発現するまでの時間および糖度(Brix%)が圃場での結果と異なる可能性がある。なお、プランターは、横64cm×縦34cm×高さ26cmのものであり、培地は、肥料成分を調整した黒ボク土である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 寒締め野菜の高品質化シナリオの策定と生産支援システムの開発
予算区分 国庫(先端技術を活用した農林水産研究高度化事業の委託研究)
研究期間 2004〜2006年
研究担当者 佐藤睦人、荒川市郎、佐藤正一