RNAドットブロット法によるダイズわい化ウイルス系統の識別

[要約]
 塩基配列特異的プローブを用いたRNAドットブロット法により、国内で発生が認められている4系統のダイズわい化ウイルスの識別及び検出ができる。
[キーワード]
  ダイズ、 ダイズわい化ウイルス、 RNAドットブロット法、系統識別
[担当]東北農研・作物機能開発部・上席研究官室、東北農研・地域基盤研究部・病害管理研究室
[連絡先]電話019-643-3524、電子メールsh3651@affrc.go.jp
[区分]東北農業・生物工学・生産環境、共通基盤・病害虫(病害)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 北日本のダイズ生産に深刻な被害をもたらすダイズわい化ウイルス(SbDV)は, その病徴型と媒介アブラムシの種類により4系統(YS, YP, DSおよびDP)に分類される。圃場での診断や抵抗性素材の選抜等において不可欠な技術であるSbDVの検出および系統識別には、生物検定(宿主域、アブラムシ媒介性等)の他に、ELISA法及びRT-PCR法等が用いられている。血清学的手法では病徴型についての識別が困難であり、RT-PCR法ではプライマー領域の変異により検出できない分離株もあることから、系統識別と検出の信頼性をより高める手法として、特異的プローブを用いたRNAドットブロット解析による本ウイルス検定法を開発する。
[成果の内容・特徴]
 
1. SbDV4系統を識別するため、プローブは、SbDVゲノム上の病徴型(Y, D)および媒介アブラムシ(S, P)特異的領域をもとに、それぞれに特異的な配列を持つ4種類のプローブ(図1)を用いる。
2. 罹病葉から抽出したRNA画分を4等分してメンブランにブロットした後、それぞれ4種のプローブとハイブリダイズさせて、化学発光法によりシグナルを検出する(図2)。各プローブによるシグナルの有無からウイルス系統を明確に判定することができる(図3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. プローブの作製に用いるPCR用プライマー及び本ウイルスcDNAクローンは提供可能である。
2. 従来法(ELISA法、RT-PCR法等)を含めて、試料数、実験設備等に適した検定方法を選択・併用することによって、効率的且つ高精度な検定が可能である。
3. ウイルス検出には、プローブとしてアブラムシ媒介型 (S, P)よりも病徴型(Y, D)を用いる方が高い検出感度が得られる。
4. 老化葉ではウイルスRNAの抽出が困難である場合があるので、なるべく若い葉を試料とする。
5. RNA抽出及びシグナルの検出(化学発光法)は市販のキット等を用いて行う。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: ダイズわい化病抵抗性付与技術の開発
課題ID: 05-06-05-01-11-05
予算区分: 交付金(組換え植物)
研究期間: 2002∼2005年度
研究担当者: 山岸紀子、兼松誠司、酒井淳一、藤郷誠、吉田泰二、日高操