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コムギうどんこ病に対する薬剤散布は止葉直下葉での発生直後に1回行うと効果的である

[要約]

コムギうどんこ病の防除では、止葉直下葉での発生直後に薬剤を1回散布するだけで、上位2葉での発生に対して十分な防除効果が得られるとともに、本病による収量・品質低下に対する影響を回避できる。

[キーワード]

コムギ、うどんこ病、薬剤散布、止葉直下葉、発生直後

[担当] 青森県・農林総研・病害虫防除室
[連絡先] 電話 0172-52-4314,電子メール toshitaka_iwama@pref.aomori.lg.jp
[区分] 東北農業・生産環境(病害虫)
[分類] 技術・参考類

[背景・ねらい]
コムギうどんこ病は、品種「ネバリゴシ」で多発傾向にある病害であるが、採算性の問題から、うどんこ病のみを対象とした薬剤散布が行われることは少なく、開花始め以降に赤かび病との防除を兼ねた薬剤散布が行われることが多い。そのため、うどんこ病に対しては、必ずしも適期防除が行われているとはいえない。
 一方、うどんこ病の防除では、止葉直下葉の展開期以降に薬剤を散布すると効果的とされているが、止葉直下葉での発生を確認してからの散布でも十分な防除効果が得られれば、発生時期の早晩に応じた薬剤散布が可能となる。
そこで、止葉直下葉での発生直後に薬剤を1回散布した場合の防除効果および本病による収量・品質低下に対する影響を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 止葉直下葉でのうどんこ病の発生直後に薬剤を1回散布するだけで、葉が自然黄化する頃まで上位2葉での発生を少なく抑えることができる(表1)。これには、トリフルミゾール水和剤、クレソキシムメチル水和剤、アゾキシストロビン水和剤、チオファネートメチル水和剤およびDBEDC乳剤の散布が効果的である(表2)。
  2. コムギの生育初期からうどんこ病を徹底的に防除しなくても、止葉を含む上位2葉での発生を少なく抑えれば、収量・品質低下に対する影響は小さい(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、「ネバリゴシ」にしては、うどんこ病の発生が比較的少ない条件下の試験によって得られたものである。「ネバリゴシ」では、止葉を含む上位2葉での病斑面積率が55.2%(2000年:場内奨励品種決定試験圃場)に達する場合もある。
  2. (止葉-2)葉でのうどんこ病の発生直後に薬剤を1回散布した場合、その後に展開してきた止葉直下葉や止葉では発生が多くなることがある。
  3. 止葉直下葉でのうどんこ病の発生直後に薬剤を1回散布する試験は、各薬剤について2~3か年行っており、いずれも表2と同様の防除効果が得られている。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名 コムギうどんこ病の発生被害の解明と効率的防除
予算区分 県単
研究期間 2002~2006年度
研究担当者 岩間俊太、近藤伸子