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リンゴ新品種「秋陽(しゅうよう)」は、「陽光」に「千秋」を交雑して育成した三倍体の中生種で、9月下旬〜10月上旬に収穫できる。果皮色は濃赤色で着色しやすく、果実の大きさは 350g程度と大玉である。肉質は歯ざわりが良く、果汁も多い。甘味・酸味とも多く、食味が優れる。
リンゴ、新品種、「秋陽」、三倍体、中生種
山形県の気象風土に適した商品性の高い、中生種のオリジナル優良品種を開発する。
育成経過 交雑親:「陽光」×「千秋」、交雑年:1991年、初結実:1999年、一次選抜:2000年、 二次選抜:2001年、山形県有望品種編入年:2005年、種苗登録出願:2005年 特性概要 満開期は「ふじ」より1日程度遅く、「つがる」と同時期である(表1)。 収穫期は9月下旬〜10月上旬である(表1)。 樹勢はやや強く、枝ははじめ直立するが、結実すると開張する。側枝の発生は少ない。 果形は円で、果実重は350g前後と大玉である(表2)。果皮色は濃赤色で不明瞭だが縞が入る。着色はしやすい(図1)。梗あ部とがくあ部に少量のさびが見られる場合がある。 肉質はパリパリして歯ざわりが良く、果汁も多い。糖度は14%前後、酸度(リンゴ酸換算) は0.4g/100ml前後で、甘味・酸味とも多く、食味が濃厚である(表2)。 日持ち性は20度C一定条件下で、5〜7日程度である(データ省略)。 斑点落葉病に対する感受性は低いが、病害虫防除は通常の中生種に準じて行う(データ省略)。 「秋陽」は三倍体品種(S遺伝子はS1S3S9)のため受粉樹には適さない。 また、「つがる(S3S7)」「王林(S2S7)」「シナノスイート(S1S7)」等は和合性があるが、「ふじ(S1S9)」「シナノゴールド(S1S3)」等とは和合性がない(表3)。
年次により収穫前落果が発生するので、落果防止剤の散布が必要である。 心かびの発生率(2003年〜2005年の平均)は、「秋陽」が16.2%で、「ミ林」(5.2%)より多く、「シナノスイート」(33.3%)より少ない。 収穫が遅れると脂質が増加するので注意する。