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着色が良く食味の優れる中生種リンゴ新品種「秋陽」

[要約]

リンゴ新品種「秋陽(しゅうよう)」は、「陽光」に「千秋」を交雑して育成した三倍体の中生種で、9月下旬〜10月上旬に収穫できる。果皮色は濃赤色で着色しやすく、果実の大きさは 350g程度と大玉である。肉質は歯ざわりが良く、果汁も多い。甘味・酸味とも多く、食味が優れる。

[キーワード]

リンゴ、新品種、「秋陽」、三倍体、中生種

[担当] 山形農総研セ・農生技試・バイオ育種科
[連絡先] 電話 0237-84-4125,電子メール nogishi@pref.yamagata.jp
[区分] 東北農業・果樹
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
山形県の気象風土に適した商品性の高い、中生種のオリジナル優良品種を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 育成経過
    交雑親:「陽光」×「千秋」、交雑年:1991年、初結実:1999年、一次選抜:2000年、
    二次選抜:2001年、山形県有望品種編入年:2005年、種苗登録出願:2005年
  2. 特性概要
    1. 満開期は「ふじ」より1日程度遅く、「つがる」と同時期である(表1)。
    2. 収穫期は9月下旬〜10月上旬である(表1)。
    3. 樹勢はやや強く、枝ははじめ直立するが、結実すると開張する。側枝の発生は少ない。
    4. 果形は円で、果実重は350g前後と大玉である(表2)。果皮色は濃赤色で不明瞭だが縞が入る。着色はしやすい(図1)。梗あ部とがくあ部に少量のさびが見られる場合がある。
    5. 肉質はパリパリして歯ざわりが良く、果汁も多い。糖度は14%前後、酸度(リンゴ酸換算)  は0.4g/100ml前後で、甘味・酸味とも多く、食味が濃厚である(表2)。
    6. 日持ち性は20度C一定条件下で、5〜7日程度である(データ省略)。
    7. 斑点落葉病に対する感受性は低いが、病害虫防除は通常の中生種に準じて行う(データ省略)。
    8. 「秋陽」は三倍体品種(S遺伝子はS139)のため受粉樹には適さない。 また、「つがる(S37)」「王林(S27)」「シナノスイート(S17)」等は和合性があるが、「ふじ(S19)」「シナノゴールド(S13)」等とは和合性がない(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 年次により収穫前落果が発生するので、落果防止剤の散布が必要である。
  2. 心かびの発生率(2003年〜2005年の平均)は、「秋陽」が16.2%で、「ミ林」(5.2%)より多く、「シナノスイート」(33.3%)より少ない。
  3. 収穫が遅れると脂質が増加するので注意する。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名 リンゴオリジナル優良品種の開発
予算区分 県単
研究期間 1990年度〜2005年度
研究担当者 本間禎明、阿部芳幸、西村幸一、安孫子裕樹、石黒亮、工藤信、新野清
発表論文等 品種登録出願(2005.9.26) 、 品種登録出願番号「第18814号」、出願公表(2006.6.21)