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セイヨウミツバチを利用した小ナスハウス栽培の着果管理作業の省力化

[要約]

小ナスハウス栽培において、授粉のために訪花昆虫のセイヨウミツバチを利用することにより、着果管理作業の大幅な省力化が可能となる。収穫物の品質もホルモン処理(慣行)とほぼ同等である。

[キーワード]

セイヨウミツバチ、授粉、着果、省力、品質、小ナス、ハウス栽培

[担当] 山形農総研セ・農生産技試・野菜花き研究科
[連絡先] 電話 0237-84-4125,電子メール nogishi@pref.yamagata.jp
[区分] 東北農業・野菜花き(野菜)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
小ナスハウス栽培の現場では、着果安定のためのホルモン剤の単花処理(以下、ホルモン処理)作業を収穫期間中行っている。一方、西南暖地のナス栽培先進地では、省力化技術として花粉媒介昆虫の利用による栽培が増加している。しかし、作型が異なる点やミツバチを利用した場合の小ナス(30g/個)収穫における品質(特に柔らかさや食味)についての知見がないため、花粉媒介昆虫の一つであるセイヨウミツバチ(以下、ミツバチ)の利用が、小ナスハウス栽培の作業労働時間や収量、品質に及ぼす影響について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 小ナスハウス栽培において、ミツバチを利用することにより、着果管理作業時間の大幅な削減が可能になる。10a当たり着果管理作業の削減時間は、ホルモン処理と比較しておよそ390時間である(表1)。
  2. ミツバチを利用することにより、ホルモン処理と比較して、収穫個数や商品収量とも同等以上である(表2)。
  3. ミツバチを利用した果実とホルモン処理果実の果実硬度は、同等である(表3)。
  4. ミツバチを利用した果実とホルモン処理果実の浅漬けにした場合の食味は、同等である(表4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. ミツバチを導入する前に、病害虫の密度を極力下げておく。また、農薬の選定は、ミツバチに対する影響日数が少ない農薬を利用する。
  2. 適正な草勢管理に努め、ミツバチの活動を確認できない場合は、ホルモン処理を併用する。
  3. 訪花が確認されても、短花柱花は落花したり、着果した場合でも障害果になるため、草勢の維持に努める。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名 ハウス栽培小ナスの栽培手法の確立
予算区分 県単
研究期間 2006年度
研究担当者 五十嵐美穂、岡田梓
発表論文等 なし