研究所トップ研究成果情報平成18年度

ホウレンソウ萎凋病に対するカラシナすき込み効果

[要約]

カラシナ茎葉を土壌中にすき込み、1ヶ月のビニール被覆処理を行うことで、ホウレンソウ萎凋病の発病株率、発病度が減少する。

[キーワード]

ホウレンソウ、萎凋病、カラシナ

[担当] 岩手農研セ・県北農業研究所・産地育成研究室
[連絡先] 電話 0195-47-1073,電子メール medera@pref.iwate.jp
[区分] 東北農業・野菜花き(野菜)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 連作等に起因すると考えられる萎凋病の慢性的な発生は、夏期高温期の減収を引き起こし、ホウレンソウ主産地における持続的生産の制限要因となっている。そのため、安全安心なホウレンソウ栽培を求める消費者ニーズに対応しつつ、作柄の安定を図るための技術が求められている。
 そこで、室内試験において萎凋病の発病抑制効果が確認されているカラシナの土壌混和処理を圃場で行い、カラシナすき込み処理によって萎凋病の発病が抑制されるかを検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. カラシナすき込み処理によって、萎凋病の発病株率および発病度が減少し(図1)、出荷可能株率が増加することから(表1)、ダゾメット粉粒剤を用いた処理に近い効果が得られる。
  2. 処理後2作目のホウレンソウ栽培時では、若干効果が低下するものの、出荷可能株率は維持される(表1)。
  3. 処理時期の違いとその効果は、低温期(4月下旬)の処理でも萎凋病の発病株率が低下し、出荷可能株率の増加が見られる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. カラシナすき込みは、0.5t/a量のカラシナの地上部を地下20p深まですき込み、30mm程度のかん水を行った後、透明ビニールで被覆をして、1ヶ月間ハウスを閉切る処理を行った。
  2. すき込みに用いたカラシナは、ホウレンソウ試験区とは別のハウス内および露地で栽培したものを使用した。なお、ハウス内では無施肥(残存窒素量)で、また、露地では1kgN/a量の施肥を行い、どちらも30g/a量の種子をばら播きして栽培したものである。
  3. 萎凋病菌に汚染された土壌との混濁を避けるため、カラシナすき込み時に施肥も行い、ビニール被覆処理後1作目は、不耕起でホウレンソウを作付けした。
  4. 処理後、土壌表面にカラシナの残稈が残る場合があるが、手押し式播種機の動作、ホウレンソウの出芽への影響は見られなかった。
  5. カラシナ栽培及びすき込みに労力やコストを生じるが、農薬の使用が制限される販売チャネルでは、技術導入の可能性が見込まれる。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名 カラシナによるホウレンソウ萎凋病軽減技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2002〜2006年度
研究担当者 目時梨佳、佐藤正昭