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分娩前7日以内の乳腺分泌液の粘稠性が高いと分娩後に乳房炎を発症しにくい

[要約]

分娩前7日以内の乳腺分泌液の粘稠性が高いと分娩後に乳房炎を発症しにくい。また、粘稠性が低い場合は、乳房炎既往歴のある分房のほうが既往歴のない分房よりも分娩後の乳房炎発症率が高い。

[キーワード]

乾乳期、分娩前7日以内、乳腺分泌液、粘稠性、乳房炎既往歴、乳房炎発症予測

[担当]

山形県農総研セ・畜産試験場・飼養管理科

[代表連絡先]

電話0233−23−8818

[区分]

東北農業;畜産

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

安全安心で高品質なおいしい牛乳が消費者に望まれている中、生産現場では乳房炎が多発し、適切な飼養管理を行っても根絶しきれない状況である。そこで乳房炎を低減させるため、乾乳期における乳腺分泌液の性状と免疫能の関連を把握し、それらを指標として新たな対応技術を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 乳腺分泌液の粘稠性を判定する基準としてスコアを作成した(図1)。
  2. 分娩前7日以内の乳腺分泌液の粘稠性が高い(粘稠性スコア3以上)と分娩後に乳房炎を発症しにくい。ただし分娩前8 日以上になると発症する可能性が高くなる(図2表1)。
  3. 分娩前7日以内の乳腺分泌液の粘稠性が低い(粘稠性スコア2以下)場合では、乳房炎既往歴のない分房は分娩後の乳房炎発症率が低いが、既往歴のある分房では発症率が高い(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 乳腺分泌液の粘稠性は、試薬など使用せずに生産者自らが簡単に検査できるものである。
  2. 乳腺分泌液を採取する際は衛生的に行う。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
東北農業・畜産・衛生・乳牛・乾乳期の乳腺分泌液を指標とした乳房炎の低減化対策
予算区分
県単
研究期間
2006〜2007 年度
研究担当者
水戸部麻子、高野真理安、三上豊治