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品種と作期の組合せによる飼料用稲収穫期間の拡大

[要約]

熟期の異なる飼料用稲専用品種「ホシアオバ」、「夢あおば」を用い、移植時期の組合せや乾田直播を加えることにより、収量を維持しながら、適期に収穫できる期間を45日程度まで拡大できる。

[キーワード]

飼料用稲、飼料用稲専用品種、収穫期間、ホシアオバ、夢あおば

[担当]

宮城古川農試・水田輪作プロチーム

[代表連絡先]

電話0229-26-5106

[区分]

東北農業・作物(稲栽培)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

飼料用稲の生産現場では、各地でコントラクターや大規模集団による収穫が行われているが、作業面積増大に伴い、遅刈り等の時期を逸脱した収穫が行われている。良質サイレージを生産するには、適期に収穫することが重要である。そこで、熟期の異なる飼料用稲専用品種を用いた作期の組合せによる収穫期間の拡大や収量性を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 「ホシアオバ(極晩生)」・「夢あおば(中生)」を用い、移植・乾田直播栽培を組み合わせることにより、収穫時期が分散し、収穫期間も9月上旬から10 月中旬までの約45日程度に拡大できる。(図1
  2. 「ホシアオバ」「夢あおば」は4月下旬から6月上旬まで移植可能であり、それぞれ170kg/a、150kg/a程度の地上部乾物収量が得られる。(図1図2表1
  3. 乾田直播栽培では、5月中旬播種において、「ホシアオバ」で約150kg/a、「夢あおば」で120kg/a程度の地上部乾物収量が得られる。(表1

[成果の活用面・留意点]

  1. 各経営体に合った収穫時期の選択やコントラクターによるリレー収穫が可能となる。
  2. 慣行牧草収穫機を使った予乾体系との組合せが可能な条件では、さらなる収穫期間拡大が可能となる。
  3. 移植の結果は、乳苗を使用したものである。なお、慣行稚苗栽培と比較すると、出穂期は2〜3日程度遅く、黄熟期は同程度である。
  4. 本体系の適用地帯は東北南部平坦地である。
  5. 「ホシアオバ」(極晩性)作付においては、熟期と水利条件への配慮が必要であり、収量低下を及ぼすような早期落水は避ける。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
東北中部水田地帯における受託組織による飼料用稲生産・給与技術の実証と耕畜連携システムの確立
予算区分
委託プロ(地域総合研究2004年〜2005年)
委託プロ(えさプロ2006年〜2010年)
研究期間
2004年〜2006年
研究担当者
辻本淳一、星信幸、瀧典明、高橋智恵子