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機械の汎用利用と作期移動による省力低コスト2年3作体系
[要約]
播種・収穫機械の汎用利用と水稲乾田直播栽培や大豆晩播狭畦栽培による作期の移動によって、費用及び労働時間が削減され、麦+大豆+水稲の低コスト省力的な2年3作体系が可能となる。
[キーワード]
2年3作体系、機械汎用利用、作期移動、水稲乾田直播、大豆晩播狭畦栽培
[担当]
宮城古川農試・宮城農園研水田輪作プロジェクトチーム
[代表連絡先]
電話0229-26-5106
[区分]
東北農業・基盤技術(作業技術・経営)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
寒冷地2年3作輪作体系において麦と大豆の作期競合や大豆後水稲の倒伏等のリスク軽減とコスト低減を目指し、逆転ロータリ+播種機や普通型コンバインを使った汎用的機械利用体系による水稲乾田直播栽培と、大豆晩播狭畦栽培を組合せた、麦+大豆+水稲の低コスト省力的な新たな2年3作体系を開発し、その効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 慣行体系では、大麦収穫作業と大豆播種作業が競合しているが,大豆晩播狭畦栽培により作業競合が分散し、水稲乾田直播栽培の導入で労働時間が減少するため、春作業の労働時間が平準化する(図1)。
- 麦+大豆+水稲の新技術体系(2年3作)では、麦・大豆用の機械を水稲に利用することにより、播種・収穫機械等の汎用化が図られ専用機械の必要がなくなる。大豆は7月の晩播栽培によって大麦・小麦後の作付可能となり、狭畦栽培と作期移動により中耕培土作業の削減や雑草・病害虫防除作業が軽減される。大豆後水稲では乾田直播栽培によって倒伏が回避され、育苗や移植・施肥作業の削減が図られ、費用及び労働時間が削減される(図1、2)。
- この体系の規模判定要素となる汎用播種機械の作物別負担面積は、中規模(トラクタ40PS級)15ha、大規模(同60PS級)20ha、大規模法人(同100PS級)30ha程度である(表1)。
- 線形計画法で試算すると、新技術体系をの導入により構成員当農業所得は慣行体系と比較し増加する。営農モデル条件下では、43.2haまで規模拡大が可能であり、構成員当農業所得は577万円となる(表2)
[成果の活用面・留意点]
- 実証地は、宮城県北部平坦地の基本的排水条件を備えたほ場条件で行った。この体系の普及対象地域は東北中南部太平洋側とし、ブロックローテーションによる水田利用を推進する集落営農組織や大規模法人を対象とした。
- 新技術体系の導入にあたっては、地域の水田利用形態を踏まえ、慣行栽培との組合せを考慮する。
- 播種方式は、逆転ロータリ+回転目皿式播種機による広畝成形同時播種で、2007年成果情報「逆転ロータリと目皿式播種機による広畝成形同時播種方式の水稲乾田直播への利用」を参考。
- 線形計画法には、中央農業総合研究センター開発のXLPを使用した。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 寒冷地太平洋側における輪作リスク低減と大規模省力水田輪作の体系化
- 予算区分
- 委託プロ(担い手)
- 研究期間
- 2007〜2008年度
- 研究担当者
- 星信幸、佐藤祐子、浅野真澄、滝澤浩幸、冠秀昭、大森裕俊、長田茂、辻本淳一