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物理的障壁によるイネミズゾウムシ越冬成虫の水田内侵入抑制
[要約]
水稲移植直後に物理的障壁として畦畔板(波板、平板)を水田内の畦畔際に設置することにより、イネミズゾウムシ越冬成虫の水田内部への侵入を抑制し、成虫寄生密度と食害度を低く抑えることが可能である。
[キーワード]
イネミズゾウムシ、物理的障壁、畦畔板、侵入抑制
[担当]
福島農総セ・生産環境部・作物保護科
[代表連絡先]
電話024-958-1716
[区分]
東北農業・基盤技術(病害虫)
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
イネミズゾウムシは、主要な水稲初期害虫である。近年、環境保全型農業の推進に伴い有機栽培や減農薬栽培が増加してきており、本種に対する農薬を使用しない有効な防除法の確立が求められている。
そこで、畦畔板を用いた物理的障壁によるイネミズゾウムシ越冬成虫の水田内侵入抑制効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 畦畔板(波板、平板)を水稲移植直後に畦畔と1条目の間(畦畔から約15〜30cm)に設置する。設置期間中の畦畔板の水面からの高さは、10〜15cm程度とする(図1)。
- 畦畔板を設置することにより、イネミズゾウムシ越冬成虫の水田内侵入が抑制され、成虫寄生密度と食害度が低くなる(図2)。
- 畦畔板の設置に要する資材費は、波板に比べ平板が安く、作業時間も平板の方が短い(表1) 。
[成果の活用面・留意点]
- 畦畔板は、波板(商品名:アゼナミ、(株)タキロンプロテック製,0.5mm×30cm×20m)、平板(商品名:アゼシート、(株)タキロンプロテック製、0.4mm×25cm×50m)を用いた。
- 平板は自立できないため、篠竹等で1.5〜2m間隔で支える必要がある。
- 水口等を開けたままにしておくと、そこから成虫が侵入してしまうため、入水時以外は閉じる。
- 畦畔雑草が伸びて畦畔板の上に覆い被さると、そこから成虫が水田内に侵入する場合があるため、除草を適切に実施する。
- 畦畔板の撤去は、越冬成虫の密度が低くなる6月中旬以降を目安とする。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 有機栽培及び特別栽培に関する個別技術の開発検証
- 予算区分
- 電源立地地域対策交付金
- 研究期間
- 2007〜2008年度
- 研究担当者
- 松木伸浩・三田村敏正