研究所トップ研究成果情報平成21年度

キンモンホソガに対して防除効果の高いネオニコチノイド系殺虫剤

[要約]

リンゴに農薬登録のあるネオニコチノイド系殺虫剤6薬剤のうち、チアクロプリド顆粒水和剤とアセタミプリド水溶剤はキンモンホソガに対する防除効果が最も高い。

[キーワード]

キンモンホソガ、チアクロプリド、アセタミプリド、リンゴ、防除効果

[担当]

秋田農技セ・果試・リンゴ部

[代表連絡先]

電話0182-25-4224

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

ネオニコチノイド系殺虫剤は広範囲の害虫に有効であり、天敵類に及ぼす影響も比較的少ないことから、リンゴ園で広く使用されている。本系統の薬剤の大半は、主要害虫のモモシンクイガ、キンモンホソガおよびカメムシ類に農薬登録を有する。これまで、モモシンクイガとカメムシ類に対する防除効果は、本系統の薬剤間で異なることが知られているが、キンモンホソガに対しては明確にされていない。そこで、防除効果の高い薬剤散布体系を確立するため、キンモンホソガの多発生条件でネオニコチノイド系殺虫剤の本種に対する防除効果を比較する。

[成果の内容・特徴]

  1. 2006 年はキンモンホソガが多発生し、試験ほ場に設置したフェロモントラップにおける誘殺数は平年値に比較して、第1世代成虫発生期(6〜7月2半旬)は12 倍、第2世代成虫発生期は8倍であった(図1)。
  2. 同年の第1世代成虫の発生盛期(6月中旬)に、ネオノコチノイド系殺虫剤6薬剤[チアクロプリド水和剤(商品名:バリアード顆粒水和剤)2,000 倍、アセタミプリド水溶剤(商品名:モスピラン水溶剤)2,000 倍、クロチアニジン水溶剤(商品名:ダントツ水溶剤)2,000 倍、イミダクロプリド水和剤(商品名:アドマイヤー顆粒水和剤)5,000 倍、チアメトキサム水溶剤(商品名:アクタラ顆粒水溶剤)2,000 倍、ジノテフラン水溶剤(商品名:スタークル顆粒水溶剤)2,000 倍]を試験ほ場のリンゴ樹に散布したところ[展着剤(商品名:アイヤー)を10,000 倍で加用]、第2世代期(7月上旬)と第3世代期(8月上旬)における被害(マイン数)は、チアクロプリドとアセタミプリドの散布樹では他の4薬剤の散布樹よりも少なく、本種に対する防除効果はこの2薬剤が最も高い(図2

[成果の活用面・留意点]

  1. ネオニコチノイド系殺虫剤は、リンゴ葉に食入したキンモンホソガ幼虫に対しては効果が期待できないので、発生の少ない第1世代成虫発生期(産卵期)に、チアクロプリドまたはアセタミプリドを散布すると高い防除効果が期待できる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
近年多発生しているリンゴ害虫2種に対する効率的防除体系の確立
予算区分
県単
研究期間
2005 〜 2009 年度
研究担当者
舟山健
発表論文等
舟山健・大隅専一(2007)北日本病虫研報58:156-158