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春季代かき後の水稲乾田V溝直播栽培
[要約]
春季代かき後に田面を乾燥固結させ不耕起V溝直播機で播種する直播栽培は、水稲不耕起V溝直播栽培と類似した特徴を持ち、寒冷地でも栽培が成立する。
[キーワード]
水稲乾田直播、不耕起V溝直播、実証試験
[担当]
青森産技セ・農林総合研究所低コスト稲作研究部
[代表連絡先]
電話0172-52-4396
[区分]
東北農業・基盤技術(作業技術)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
気象条件や水利条件等により冬季代かきや夏・秋季代かきが困難な寒冷地でも、水稲不耕起V溝直播栽培(愛知県農総試開発)の導入要望が高まってきた。
そこで、水稲不耕起V溝直播栽培で推奨される冬季代かきを春季代かきに置換した栽培(以下、春季代かき後の水稲乾田V溝直播栽培)の実証試験を行い、この栽培が水稲不耕起V溝直播栽培と類似した特徴を持ち、寒冷地に導入可能であることを明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 春季代かき後の水稲乾田V溝直播栽培は表1に示した技術体系で、春季代かき後に速やかに落水し、田面を乾燥固結させてから不耕起V溝直播機で播種する直播栽培である。代かきは融雪水及び通水開始時の用水を利用する。
- 播種期を4月下旬から5月中旬とした場合、中生品種では出芽揃いが5月下旬から6月上旬、出穂期が8月中旬となる。倒伏や鳥害の発生は少なく、530 〜 610kg/10aの収量が期待できる(表2)。
- 生産費は、慣行移植栽培と比較すると10 a当たりでは83 %、玄米60kg 当たりでは95%である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 融雪水又は早期に用水を利用可能な地域で、暗きょや地下かんがいの整備された圃場に適応する。
- 事前に秋耕しておく必要がある。
- 出芽期以前に湛水すると、出芽・苗立ちが悪化することがある。
- 実証試験場所は、青森県黒石市(研究所、グライ土壌)及び青森市(現地、灰褐色土壌又は強グライ土壌)である。
[具体的データ]



[その他]
- 研究課題名
- 水稲不耕起直播機を利用した営農体系モデルの策定と実証
- 予算区分
- 県単、県交付金、委託プロ(担い手プロ実証試験連絡会)
- 研究期間
- 2008 〜 2009 年度
- 研究担当者
- 野沢智裕、横山裕正、須藤健児、神俊成(青森県東青地域県民局)
- 発表論文等
- 野沢、横山(2009)農機学会東北支部報56:13-16