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タラノメ促成栽培で4 月伏せ込みの側芽収量を高める穂木貯蔵技術
[要約]
タラノメの穂木採取後に頂芽部を摘除してから貯蔵し、4月下旬に伏せ込むと、側芽の1芽重量が重くなり、慣行法の無摘除または水補給よりも収益性が高まる。
[キーワード]
タラノメ、山菜類、促成栽培、穂木貯蔵、頂芽摘除、側芽
[担当]
山形最上産地研究室
[代表連絡先]
電話0233-22-2201
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
側芽を主体に収穫するタラノメの促成栽培は、採取した穂木を貯蔵し、11 月から翌年5月にかけて順次伏せ込んで生産するが、春期の伏せ込みでは穂木の貯蔵期間が長くなるに従って収量が低下することが問題となっている。そこで、4月下旬の伏せ込みにおいても側芽の生産性が高い穂木の貯蔵技術について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 11 月にタラノメの穂木を採取し、先端から5〜10cm のところで頂芽部を摘除してから穂木を貯蔵すると、頂芽の着いたまま貯蔵する慣行法の無処理よりも側芽収量が高い(表1、図1)。
- 頂芽部を摘除してから穂木を貯蔵すると、乾燥防止のために定期的に水を補給しながら貯蔵する慣行法よりも側芽収量が高い(表1、図1)。
- 頂芽と側芽を加えた収量は水を補給しながら貯蔵すると高いものの(表1)、頂芽部を摘除してから穂木を貯蔵すると1芽重量が重くなり(図2)、単価の高いL、Mサイズの側芽を多く収穫できるため(図3)、トータルの収益性が慣行法よりも高まる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 穂木は直射日光の入らない小屋などに立てた状態で貯蔵する。このとき過度の乾燥を防止するため、対流した空気が直接穂木に触れないようにブルーシート等で穂木全体を覆う。
- 頂芽を摘除した切り口をそのままにして伏せ込むとカビが発生するので、駒木切断時に5cm 程度切り戻したものを伏せ込む。
- 蔵王系統の4年生木を屋内で貯蔵し、貯蔵前の重量比で無処理区と摘除区が75%、水補給区が87%となった穂木を駒木に切断して、4月24 日に伏せ込んだ結果である。
[具体的データ]





[その他]
- 研究課題名
- メジャー山菜(タラノメ、フキノトウ等)の産地拡充技術開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2005〜2007 年度
- 研究担当者
- 岡部和広
- 発表論文等
- 岡部(2009)東北農業研究、62:189-190