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リンゴわい化栽培では改植時の豚糞堆肥投入により減化学肥料栽培ができる
[要約]
改植時に豚糞堆肥を投入し土壌改良を行った圃場では、地力窒素量が増加し、定植後に化学肥料の代わりに堆肥で施肥しても、良好な樹体の成長と果実生産が維持され、減化学肥料栽培が可能である。
[キーワード]
リンゴ、豚糞堆肥、地力窒素、減化学肥料
[担当]
秋田農技セ果樹試
[代表連絡先]
電話0182-25-4224
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
近年、肥料費高騰や環境負荷問題への意識の高まりから、従来の化学肥料主体の施肥体系が見直され始めている。そこで、地域で生産される家畜由来堆肥を土壌改良や施肥に積極的に活用し、化学肥料施用量を削減した場合のリンゴ樹への影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 果樹試験場鹿角分場(表層多腐植質黒ボク土)において、2002 年11 月の改植時に豚糞堆肥8 t / 10a 相当を投入した圃場と、豚糞堆肥を投入しなかった圃場において、2003年4月に「ふじ」/ M.9 ナガノ1年生樹を定植し(部分草生栽培、樹冠下清耕)、2009年まで施肥試験を行った結果、改植時に豚糞堆肥を投入した圃場では、化学肥料を豚糞堆肥に代替しても幹周肥大量、新梢長、葉色、果実品質、収量に明らかな違いはなく(図1、表1、表2)、減化学肥料栽培が可能である。
- 改植時に豚糞堆肥を投入した圃場は、投入しなかった圃場に比べて、地力窒素量の指標の一つである可給態窒素量が多く、その効果は少なくとも7年間は継続する(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 豚糞堆肥は良く腐熟したものを使用し、改植時に堆肥を投入した後は深耕して根域まで土壌改良する。
- 肥料として豚糞堆肥を施用する場合は、表面施用でよい。
- 豚糞堆肥以外の堆肥では同様の成果が得られない可能性がある。
- 全窒素1 kg 当たりの費用は、豚糞堆肥336 円、化学肥料750 円である。
[具体的データ]



(秋田県農林水産技術センター)
[その他]
- 研究課題名
- 地域内有機質資源を活用した持続的農業生産技術の確立(改植園での持続的生産による樹体生育量及び果実品質の評価)
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2003 〜 2009 年度
- 研究担当者
- 船山瑞樹