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ハダニ類の天敵であるカブリダニ類に対する殺虫剤の影響評価
[要約]
リンゴほ場ではフツウカブリダニとミヤコカブリダニが優占する。合成ピレスロイド剤は前者に影響が大きく、後者には影響が小さく、他方、ネオニコチノイド剤は前者に影響が小さく、後者に影響が比較的大きいことから、薬剤感受性には種間差がある。
[キーワード]
フツウカブリダニ、ミヤコカブリダニ、薬剤感受性、殺虫剤
[担当]
福島農総セ果樹研・病害虫科
[代表連絡先]
電話024-542-4199
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
果樹ハダニ類の天敵であるカブリダニ類を保護・活用するためには、殺虫剤のカブリダニ類に及ぼす影響を明らかにする必要がある。そこで、リンゴほ場において発生するカブリダニ類の種類を明らかにするとともに、各種殺虫剤がカブリダニ類の発生に及ぼす影響を評価する。
[成果の内容・特徴]
- 果樹研究所病害虫科リンゴAほ場(福島市飯坂町)では、フツウカブリダニ、ミヤコカブリダニ、ケナガカブリダニなど7種が発生している。ミヤコカブリダニは8月に優占したが、それ以外の時期はフツウカブリダニが優占している(表1)。
- 室内試験では、供試した薬剤はミヤコカブリダニ果樹研究所個体群(2008 年7月に果樹研究所病害虫科リンゴAほ場から採集)に対する影響は小さいが、ネオニコチノイド剤の中には比較的死亡率の高い剤がある(表2)。
- 野外試験では、フツウカブリダニの発生に及ぼす影響はアセタミプリド水溶剤(ネオニコチノイド剤)では小さいが、ペルメトリン水和剤(合成ピレスロイド剤)では大きい(図1)。
- 以上のことから、フツウカブリダニとミヤコカブリダニでは合成ピレスロイド剤とネオニコチノイド剤に対する感受性が異なると考えられる。
[成果の活用面・留意点]
- カブリダニ類の発生に悪影響を及ぼさない殺虫剤を選択することにより、カブリダニ類が保護される。
- カブリダニ類の保護とともに、カイガラムシ類やリンゴワタムシなどの発生を助長しないように、殺虫剤の選択にあたっては注意する。
[具体的データ]



(山形県農業総合研究センター)
[その他]
- 研究課題名
- 生物農薬利用を中心とした環境調和型害虫防除体系の確立試験
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2006 〜 2010 年度
- 研究担当者
- 佐々木正剛、穴澤拓未