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ブドウ「シャインマスカット」長梢無核栽培における開花始期の摘心の効果

[要約]

ブドウ「シャインマスカット」の長梢剪定無核栽培において、開花始期に新梢先端の1〜2葉を摘心することで、新梢生育が抑制され、果粒肥大がやや促進される。結果母枝第1、2新梢のみの摘心処理であっても、生育抑制効果は処理結果母枝全体に及ぶ。

[キーワード]

ブドウ、シャインマスカット、樹勢安定、摘心、長梢剪定、無核栽培

[担当]

山形農総研セ園試・果樹研究科

[代表連絡先]

電話0237-84-4125

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

ブドウ「シャインマスカット」の長梢剪定無核栽培において、幼木期は樹が強勢であり、生産が安定しない。そこで樹勢を安定化させるための新梢管理技術を開発する。ここでは、開花始期の摘心による新梢生育抑制効果および果実品質について検討し、樹勢を安定化する技術を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 結果母枝先端で生育の旺盛な第1新梢、第2新梢を開花始期に先端の1〜2枚を摘心することで新梢生育抑制効果が得られる(表1)。
  2. 開花始期の摘心処理による新梢生育抑制効果は処理時の新梢生育が旺盛なほど高い(図1)。
  3. 結果母枝先端の第1、第2新梢だけの摘心であっても、摘心を実施した第1、2新梢に加え、第3新梢以下の生育も無処理と比較して抑制する(表1)。
  4. 摘心を加えた新梢では無処理区と比較して落葉期の新梢径が細くなる(表2)。
  5. 開花始期に摘心処理を行うことで摘心を実施した新梢の果房の果粒肥大がやや促進される傾向がみられる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 植物成長調節剤散布による新梢生育の抑制技術では、生育の旺盛でない新梢の伸長も抑制してしまうが、摘心処理は生育の旺盛な枝のみを対象に実施することが可能で、新梢伸長にバラつきのある樹で生育を抑制する技術として有効である。
  2. 樹勢によっては第1、第2新梢のみの摘心では十分な効果が得られないことが考えられる。
  3. 2008 年は平棚・X型長梢剪定11 年生樹雨除け栽培(5/9 被覆)、2009 年は平棚・X型長梢剪定6 年生樹露地栽培で実施した結果である。なお、両年とも無核化安定のため開花直前にストレプトマイシン200ppm 散布処理を実施した。ジベレリン処理については以下のとおりである。
    2008年:6/23(満開3 日後)および7/2(満開12 日後)ジベレリン25ppm 浸漬処理
    2009年:6/19(満開3 日後)ホルクロルフェニュロン液剤2ppm 加用ジベレリン25ppm 浸漬処理
        6/29(満開13 日後)ジベレリン25ppm 浸漬処理

[具体的データ]

(山形県農業総合研究センター)

[その他]

研究課題名
ブドウ‘シャインマスカット’の産地化促進技術
予算区分
県単
研究期間
2008〜2010 年度
研究担当者
米野智弥、小野寺玲子、工藤信
発表論文等
米野ら(2010)東北農業研究、第63 号:101-102