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エゴマ加工品の酸化抑制法

[要約]

エゴマペーストの酸化抑制には、ビタミンC製剤(ビタミンCパルミテート12.5%含有)0.1%添加が有効で、エゴマドレッシングでは、褐変や粘度増加も抑制されるため、品質保持期間を延長できる。

[キーワード]

エゴマ、酸化、過酸化物価、抗酸化剤

[担当]

福島農総セ・流通加工科

[代表連絡先]

電話024-958-1719

[区分]

東北農業・基盤技術

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

福島県におけるエゴマ栽培は全国的にみても盛んであり、平成19 年度の農林水産省統計による と、国内における総収穫量と栽培面積はともに全国1位となっている。

近年、エゴマに高含有するα-リノレン酸の機能性が注目されているが、α-リノレン酸は酸化による品質劣化が早く、このことがエゴマの加工利用の拡大を妨げる一因となっている。

このため、エゴマ加工者からは、エゴマの酸化抑制技術の開発が求められている。そこで、食品添加用の酸化防止剤によるエゴマ加工品の酸化防止効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. エゴマペーストに油脂用の各種抗酸化剤を添加し、通常保存(密封、4℃)よりも厳しい条件(開封、30℃、暗所)で保存した結果、ビタミンCE製剤(ビタミンCパルミテート12.5%、dl-α-トコフェロール2.5%含有)0.1%添加が酸化防止に有効である(図1)。
  2. ビタミンC製剤(ビタミンCパルミテート12.5%含有)でも、エゴマペーストの酸化抑制効果が得られる。エゴマペーストの酸化抑制には、dl-α-トコフェロールではなく、ビタミンCパルミテートが効果を示していると考えられる(図2)。
  3. ビタミンCパルミテートは、エゴマに元々含まれるビタミンEの減少を抑え、このことにより酸化を抑制していると考えられる。
  4. エゴマペーストを原料に用いた「エゴマドレッシング」に、油脂用の各種抗酸化剤を0.1%添加し、通常保存(密封、4℃)よりも厳しい条件(開封、25℃、明所)で保存した結果、ビタミンC製剤添加区以外では褐変して粘度が高くなるが、ビタミンC製剤を添加することにより、変色抑制や酸化抑制の効果がある(写真図3)。また、粘度の増加抑制の効果も見られる。

[成果の活用面・留意点]

  1. ビタミンC製剤はほぼ無味無臭なことから、様々な食品へのエゴマペーストを用いた加工品(菓子や総菜など)への利用が可能。
  2. エゴマドレッシングにビタミンC製剤を0.1%添加すると、追加コストが僅か0.45 円/100mL で、品質保持期間の延長効果が得られる。

[具体的データ]

(福島県)

[その他]

研究課題名
農産物の加工・利用研究
予算区分
県単
研究期間
2006〜2010年度
研究担当者
関澤春仁