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畦畔除草作業を快適に実施可能な除草機の開発
[要約]
乗用管理機に装着可能な除草機構を開発し、その除草機は、水田内より畦畔法面の除草状況を確認しながら作業することができ、労働負担を大きく軽減することが可能である。
[キーワード]
除草、法面、乗用管理機
[担当]
福島農総セ・企画経営部・経営・農作業科
[代表連絡先]
電話024-958-1700
[区分]
東北農業・基盤技術(作業技術)
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
農作業の効率かつ省力的な作業技術、安全性の向上、快適化を図ることが重要であるが、水田の畦畔除草作業は、多くが刈払機や自走式草刈機で年に3〜5回程度行われ、夏場の気温が高い環境下での作業は、労働負担の大きなものとなっている。
ここでは、水田の畦畔除草作業者の労働負担の軽減を図る軽労化技術を開発し、効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 乗用管理機のフロントウエイト装着部に、2つの油圧シリンダにて伸縮可能な角形鋼管製アームを作製・付加し、その先端にレシプロ刃を取り付ける。なお、刈刃の駆動は乗用管理機後部のPTO 軸出力を動力とした油圧システムである(表1)。
- 開発した乗用管理機装着除草機(以下、乗用機)は水田内から除草作業が可能であり、除草機構が機体前部に装着されているため、視認性は良好で、除草状況を確認しながら座位で作業を実施することができる(図1)。また、機体より下方斜面の他、上方斜面の除草作業が可能であり、作業可能な範囲が広範囲である。
- 乗用機の作業速度は歩行型畦畔草刈り機(以下、歩行機)より0.1m/s 遅いが、乗用機の刈り幅は歩行機の3倍となり、ほ場作業量は概ね同等である。また、乗用機の心拍数増加率は歩行機より低く、乗用機により畦畔法面の除草作業時において労働負担が大きく軽減される(表2)。
- 乗用機による除草後の草丈は、草種によるが歩行機に比べやや高い(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 除草機構を装着した乗用管理機は、K 社GR16-75(出力11.8kW)であり、除草試験に使用した歩行型畦畔草刈り機は、O 社SP850(出力2.4kW、刈り幅500mm)である。
- 除草作業を実施した畦畔法面の法長は1.8m、法勾配は40 度である。
- 委託加工費を福島県内の業者の協力を得て算出し、原材料費にあわせて製造原価を試算結果、約69 万円である。
- 乗用機による除草は、草丈の低い雑草は草種により刈りにくい場合がある。
- 乗用機の製造等に関する技術相談には、個別に対応する。
[具体的データ]




(福島県)
[その他]
- 研究課題名
- 管理作業の軽労化技術の開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2006〜2010 年度
- 研究担当者
- 大野光、松葉隆幸、朽木靖之、棚橋紺