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高温障害が発生する登熟期の危険時期の温度と期間

[要約]

登熟期の高温による品質低下は出穂後20 日間の気温と関係が高く、特に出穂後2 週目までの高夜温により障害の程度が大きくなる。出穂後20 日間の間に平均気温が29℃以上、最高気温34℃以上、最低気温24℃以上のいずれかの日が5 日以上続くと予想される場合は、水管理により圃場の温度を下げるようにする。

[キーワード]

水稲、高温登熟、高夜温、玄米品質

[担当]

山形農研セ・水田農業試験場

[代表連絡先]

電話0235-64-2100

[区分]

東北農業・共通基盤(農業気象)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

東北地方の日本海側の水田地帯では、登熟期の高温による玄米の品質低下が問題となっている。高温障害を予測するには、高温障害を引き起こすイネの生育ステージと気温の関係を解析する必要があり、高温障害が発生しやすい温度とイネの生育ステージとの関係を圃場試験で明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 圃場における日中、夜間別の加温実験(日中;6:00〜18:00、夜間;18:00〜6:00)により次の傾向が認められる。品質低下にはいずれの高温も影響し、高温継続期間が長いほど品質が低下し、出穂後20 日間の高温が大きく影響する。特に出穂後2週目までの高夜温により障害の程度が大きくなり、夜間温度28℃3日間では影響が少ないが、5日間継続すると玄米の整粒歩合が約5%低下し、7日間では約10%低下する。また、同様に日中温度34℃が5日間継続すると整粒歩合が約3%低下し、7日間では約7%低下する(図1)。
  2. 2.庄内地域で登熟期の高温により一等米比率が大幅に低下した年次は、出穂後20 日間の気温と関係が高い。はえぬきは出穂後20 日間の平均気温が27℃以上、最高気温31.5℃以上、最低気温23.5℃以上で一等米比率が90%以下となり、ササニシキは平均気温が25℃以上、最高気温29.5℃以上、最低気温21.5℃以上で一等米比率が80%以下となる(図2)。
  3. 出穂後20 日間に平均気温が29℃以上、最高気温34℃以上、最低気温24℃以上のいずれかの日が5日以上連続して出現している年次が過去20 年間に4回あるが、これらの年次はすべて一等米比率が90%を下回っている。このような高温が出穂後20 日の間に5日以上続くとみられる場合は、圃場の温度を下げる対策が必要である(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果で提示した閾値気温は「この気温・継続日数を超える場合は品質低下する」ことは示すが、「この気温・継続日数を下回る場合は品質低下しない」ことを示すものではないことに注意する。
  2. 高温が5日間以上続くと予想された場合は、地域間で調整を図りながら夜間かけ流し等で対応する。
  3. 高温登熟性は「はえぬき」は中程度、「ササニシキ」は弱と推定される。
  4. 高温年次の主な落等理由は形質(心白・腹白)、整粒不足、形質(充実度)による。
  5. 図1はひとめぼれを用い、夜間高温区は、夜間にビニールで被覆しヒーターを用い温度を上昇させ、日中は被覆ビニールを除去した。日中高温区は昼夜ビニールで被覆した。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
Google マップによる気象予測データを用いた双方向型水稲気象被害軽減システムの開発
予算区分
交付金プロ
研究期間
2008〜2010 年
研究担当者
早坂剛