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夏秋どりイチゴの難防除害虫に対する総合防除
[要約]
夏秋どりイチゴのアザミウマ類やシクラメンホコリダニに対しては、生物的防除であるスワルスキーカブリダニ製剤および物理的防除であるUVカットフィルムの展張等を取り入れた総合防除によって、発生およびその被害を低く抑えることが可能となる。
[キーワード]
夏秋イチゴ、アザミウマ類、シクラメンホコリダニ、総合防除
[担当]
福島農総セ・作物園芸部・野菜科、生産環境部・作物保護科
[代表連絡先]
電話024-958-1724
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)、基盤技術(病害虫)
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
夏秋どりイチゴ栽培は、高温期の栽培になるため、害虫の増殖が速くなるなど化学合成殺虫剤の使用頻度が高くなりやすく、害虫が薬剤抵抗性を獲得するおそれがある。そのため、ハダニ類、アザミウマ類やシクラメンホコリダニなど難防除害虫に対する効果的な防除技術の開発は重要な課題である。そこで、ハダニ類やアザミウマ類の防除に利用されているミヤコカブリダニ製剤、UVカットフィルムに加えてスワルスキーカブリダニを組み込むことで、アザミウマ類に対する密度抑制の増強とシクラメンホコリダニの防除をねらいとした、総合防除技術の確立を図る。
[成果の内容・特徴]
- スワルスキーカブリダニは生育後半まで確認されたことから、夏秋どりイチゴにスワルスキーカブリダニを放飼しても定着できる。
- UVカットフィルム、防虫ネットの展張に加え、6月〜7月にスワルスキーカブリダニを2回放飼すると、アザミウマ類を秋期まで低密度に抑制することができる(図1)。
- シクラメンホコリダニの被害は9月から認められるが、スワルスキーカブリダニを放飼することで被害程度を軽減することができる(表1)。
- アザミウマ類およびシクラメンホコリダニの同時防除にはスワルスキーカブリダニの放飼が有効であり、化学合成殺虫剤の使用回数を低減できる(図1)。
[成果の活用面・留意点]
- スワルスキーカブリダニ(商品名スワルスキー)は、市販されている製剤を使用できる。なお、現在のところスワルスキーカブリダニ製剤は、シクラメンホコリダニへの適用はない。
- スワルスキーカブリダニとミヤコカブリダニを併用すると、スワルスキーカブリダニが優占し、ハダニ類が発生するおそれがある。その場合はカブリダニ類に影響の小さい殺ダニ剤で対応する。
- カブリダニ類放飼後は、病害虫の発生動向に応じ、天敵に影響の小さい農薬を使用する。
- 放飼時期は出蕾後の開花始期とする。
[具体的データ]



(福島県)
[その他]
- 研究課題名
- 寒冷地における良食味四季成り性品種定着のための夏秋どりイチゴ栽培技術の確立
- 予算区分
- 交付金プロ(四季成りイチゴ)
- 研究期間
- 2008〜2010 年度
- 研究担当者
- 小林智之、荒川昭弘、加藤義明、岡崎一博