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ニンニク収穫後乾燥時の「シート乾燥」における温度分布の特徴

[要約]

ニンニク収穫後のテンパリングによる「シート乾燥」において、吸引式と押し込み式とでは、乾燥開始時はシート内に温度のばらつきがあり、その温度分布も異なるが、乾燥が進むにつれてどちらもほぼ均一になり、乾燥仕上がりの日数は同程度となる。

[キーワード]

ニンニク、収穫後乾燥、テンパリング、シート乾燥、通風方式

[担当]

青森産技セ野菜研・栽培部

[代表連絡先]

電話0176-53-7171

[区分]

東北農業・基盤技術(作業技術)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

ニンニクを周年出荷するためには収穫後乾燥が必須である。乾燥後の長期貯蔵において、くぼみ症等低温障害が発生することがあり、収穫後の乾燥温度、程度及び期間の影響が示唆されている。

現在、青森県では、ニンニク収穫後の乾燥方式として、コンテナを積んでシートで上部・側面部・底部を覆う「シート乾燥」が行われており、排気側にファンを設置し通風する吸引式と入気側にファンを設置し通風する押し込み式がある。両方式での乾燥中のシート内温度分布が不明であったため、シート内の各箇所のりん茎表皮下の温度を調査する。

[成果の内容・特徴]

  1. 乾燥初期のシート内の温度分布は、吸引式では、上下層位別の温度は、上層が最も高く、中層と下層は、上層と同程度か低くなる。シート前後別の温度は、入気側から排気側にかけて徐々に低下する。同じく、押し込み式では、上層と下層が同程度の温度であったのに対し、中層の特に中心部分の温度が低くなり、前後別では温度がばらついた(図2)。
  2. 乾燥中期から終期のシート内の温度分布は、上層と下層、前後別の温度差が小さく、通風方式による差は認められない(図2)。
  3. テンパリングによる「シート乾燥」では、通風方式の違いにより乾燥初期に温度のばらつきはあるが、乾燥仕上がりまでの日数に大きな違いはなく、りん茎の乾燥仕上がりに問題はない(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 押し込み式ではシート内が陽圧になることによりシートが膨れるため、板やゴムバンドなどで上部、側面部を押さえる必要があるが、吸引式では陰圧であるためシートを数本のゴムバンドで押さえるだけでよい。
  2. 加温機のセンサー位置は、いずれの通風方式でも前面に設置し、昼間の温度が35℃を越える場合は換気等昇温抑制対策を講じる。
  3. 現地標準での「シート乾燥」は、30a 分相当を1セットとし、1コンテナ(240×900×250mm)への充填量は、約18.5kg(乾燥前)として、積層(1800×3600×1800mm:2 列×7 段×奥行14、計196 個)してシートで覆う。

[具体的データ]

(地独青森県産業技術センター野菜研究所栽培部)

[その他]

研究課題名
高品質国産ニンニクの周年安定供給を実現する収穫後処理技術の開発
予算区分
実用技術
研究期間
2009〜2010 年度
研究担当者
伊藤篤史、庭田英子