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オウトウの長期被覆栽培による結実安定技術
[要約]
長期被覆栽培は4月上旬から収穫終了まで被覆する栽培体系であり、受粉環境の改善により結実率の向上が期待できる。さらに降霜時の防霜対策は、防霜資材の防霜ロックの開口程度を1/3 にして燃焼させることにより霜害低減効果が期待でき、燃焼時間の延長が可能になる。
[キーワード]
オウトウ、雨除け施設、長期被覆、結実、防霜対策
[担当]
山形県農業総合研究センター・園芸試験場・果樹部
[代表連絡先]
TEL 0237-84-4125
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
オウトウでは安定した結実確保のため、開花期の気象の影響を受けにくい栽培法として、4月上旬から収穫終了まで雨除け施設を被覆する長期被覆栽培が増えている。そのため、長期被覆栽培が結実及び果実品質に及ぼす影響について明らかにするとともに、省力的で使用燃料の削減可能な防霜対策技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 長期被覆栽培では、降雨時や強風下でもミツバチ等の訪花活動や、人工受粉が可能になるため、慣行栽培と比較して結実率の向上が期待できる(表1)。
- 開口調節機能を有する燃焼型防霜資材(商品名:防霜ロック)の開口程度を1/3 とすることで、全開で燃焼した場合のおよそ2倍の燃焼時間になり、全開で3時間、開口1/2で4時間、開口1/3で6時間程度の燃焼時間を確保できる(表2)。
- 長期被覆栽培でも防霜対策が必要であるが、火点数(10a 換算で30 個)が十分であれば防霜資材の開口程度を1/3 で燃焼させても、霜害低減効果が得られる(図1、表3)。この防霜方法によって、燃料の削減と燃料補給作業の省力化が図られる。
- 長期被覆栽培の開花期等の生態や果実品質は、露地条件と差がない(データ省略)。
[成果の活用面・留意点]
- 長期被覆は、4月上旬から収穫終了時まで雨除け施設を被覆し、防風ネット(4mm目一重)を西面と北面のサイドに設置した。雨除け施設は、間口5.0m×奥行き42m、棟高 4.5m、谷の高さ3.0mの4連棟を供試した。
- 強い降霜が予想される場合は、適宜開口程度又は火点数を調節する。
- 適切な土壌水分管理を行うことで、果実品質は慣行の被覆栽培と同等となる。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 低樹高・新型雨除け施設によるオウトウの軽労安定生産技術の開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2006〜2010 年度
- 研究担当者
- 今部恵里、米野智弥、工藤信
- 発表論文等
- 今部ら(2011)東北農業試験研究 第64 号:105-106