研究所トップ研究成果情報平成23年度

水田農業経営体の特徴と経営展開のポイント

[要約]

大規模な水田農業経営体の特徴は経営多角化、コスト削減、販売対応に集約される。それぞれの経営展開のポイントは、外部ノウハウの活用、工程管理の徹底と農作業チームへの権限付与、生産管理データの蓄積と幅広い人間関係の構築となる。

[キーワード]

水田農業、経営管理

[担当]

岩手県農研・企画管理部・農業経営研究室

[代表連絡先]

電話0197-68-4405

[区分]

東北農業・基盤技術(経営)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

水田農業における担い手の育成とその経営発展のための支援を検討するに当たり、大規模な水田農業経営体の事例を調査し、経営の特徴とその経営展開のポイントを明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 事例調査した水田農業経営体は、経営面積が58ha から632ha、売上額が2,140 万円から35,700 万円、労働力人数が4.2 人から51 人の8事例である(表1)。その特徴は、経営多角化、コスト削減、販売対応に集約される(表2)。経営多角化では、多品目化、転作作物等の収量向上、農作業受託の拡大等の水平的多角化と、加工・販売事業に取り組む垂直的多角化に加え、農外収入を得て売上額を高めようとしている。コスト削減では、農機具費や肥料費等の物財費の低減を図り、また省力化や作業効率向上、雇用労働力の生産性向上を図ることにより労働費を抑制している。販売対応では、商品差別化による付加価値向上、多様な顧客ニーズ対応、製造業への直接販売と製造委託や農商工等連携などによる販売チャネルの開拓を行っている。
  2. 水田農業経営体の経営展開のポイントを特徴と事例経営者の聞き取りにより整理した(表3)。農産加工品の販売事業では外部のノウハウを活用した商品開発が重要である。農機具費の低減では複数品種の作付と徹底した工程管理が、労働費の低減では労務管理として農作業チームへの責任と権限の付与が重要である。商品差別化による付加価値向上では品質保証のための圃場毎等の緻密な生産管理データの蓄積と顧客へ情報提供が、販売チャネルの開拓では農商工等連携拡大を図るための幅広い人間関係構築と情報収集が重要である。
  3. 水稲主体の経営体は、販売対応に重点的に取り組み、経営面積や労働力の単位当たり売上額の増大を図っている。一方、転作主体の経営体は、経営多角化とコスト削減を重点的に取り組んでいるが、転作作物の単収や単価が低いこと等から、単位当たり売上額は水稲主体の経営体より低い傾向である(図1)。このため、転作主体の経営体は、加工販売事業等の経営多角化やコスト削減、単収向上に加えて、商品の差別化や販売チャネルの開拓など販売対応にもより重点的に取り組むことが重要である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 普及指導員等が水田農業経営体を育成支援する際の参考となる。
  2. 上記のポイントによる経営改善の結果は未検証である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
先進的経営体のビジネスモデルと経営管理方策の解明
予算区分
県単
研究期間
2009〜2011 年度
研究担当者
及川浩一