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積雪寒冷地における「ハウス越冬セル大苗」による7月どりネギの導入効果

[要約]

「ハウス越冬セル大苗」による7月どりは、チェーンポット苗を用いた慣行の8〜9月収穫より収益性が高い。さらに、本作型を導入することにより既存の労働力でも4割程度の規模拡大ができる。

[キーワード]

ネギ、セル大苗、7月どり、収益性、規模拡大

[担当]

秋田農技セ企画・農技セ農試・中央農業総合研究センター・山形大学農学部

[代表連絡先]

電話018-881-3313

[区分]

東北農業・基盤技術(経営)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

積雪寒冷地のネギ栽培でも、活着に優れるセル成形苗を用い、前年の10 月中旬に播種し大苗に仕上げた苗(以下、ハウス越冬セル大苗)を4月中旬に定植することで、7月中旬から収穫できることが明らかになり、この新たな育苗方法に対応した移植機、施肥同時溝切り機、施肥方法が開発されている。本稿では、これら一連の技術開発によってもたらされる収益性と規模拡大効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 開発された「ハウス越冬セル大苗」による7月どりは、無加温ハウスを用いて越冬育苗し、7月中旬から8月中旬にかけて収穫するものである(図1)。
  2. ネギの作付1 ha 規模を想定した場合の「ハウス越冬セル大苗」作型の収支は、販売額93 万円/10a、経営費56 万円/10a、所得37 万円/10a となり、チェーンポット苗による夏どり(8 〜 9 月収穫)に比べて12 %程度所得が増加する(表1)。
  3. 開発された栽培技術は、育苗や定植に要する労働時間が増えるものの、植付本数の減少や太さの均一化に伴う収穫調製労働の縮減が見込め、単位当たり労働時間は夏どりの85 %に減少し、労働生産性が向上する(表1)。
  4. 夏どり+秋冬どりを行う農業者が「ハウス越冬セル大苗」作型を追加導入して収穫期間延長を図った場合、全体の労働時間は37 %増えるが、同等の労働力でネギ全体の作付規模は41 %まで拡大可能で、継続的な労働が可能となり、所得が46 %増加する(表2図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 「ハウス越冬セル大苗」では、無加温育苗設備とチゼル付き溝切り機(山形大学・秋田県農業試験場開発)、大苗対応の移植機(中央農業総合研究センター開発)を用いるが、移行に伴う費用は151 万円である。なお、大苗対応の移植機は、まだ市販されておらず、想定価格による。
  2. 10a 当たりの育苗枚数は156 枚(128 穴トレー1粒播き)で、慣行の夏どりの2倍程度(チェーンポット2粒播き)となり育苗面積を多く要する。
  3. 開発作型は幅広い営農類型に適応可能であるが、規模拡大試算においてはネギ栽培の作期拡大効果を確認するため、ネギ単独の試算とした。このため、他の作目を加味した場合や労働条件が異なれば変動する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
寒冷地での夏どりネギ栽培を基幹とした高効率機械化体系の確立
予算区分
競争的研究資金(実用技術開発事業)
研究期間
2008 〜 2010 年度
研究担当者
鵜沼秀樹、本庄求、進藤勇人、屋代幹雄(中央農研)、片平光彦(山形大)
発表論文等
鵜沼ら、東北農業研究(64):165-166