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土壌中の放射性セシウムの簡易測定法
[要約]
NaI シンチレーションカウンター(LUDRUM MODE 3)による簡易測定で1,000 から4,500Bq/kg の土壌中放射性セシウムを推定できる。
[キーワード]
放射性物質、簡易測定
[担当]
福島農総セ・生産環境部
[代表連絡先]
電話024-958-1718
[区分]
東北農業・基盤技術(土壌肥料)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
2011 年3 月の東京電力福島第一原子力発電所の事故により周辺の地域へ放射性物質が拡散したが、土壌分析に用いるゲルマニウム半導体検出器が不足しており、農地の汚染状況が把握できない状況が続いた。このことから、ゲルマニウム半導体検出器以外の機器を用いた土壌の放射性物質測定法を検討した。
[成果の内容・特徴]
- 2011 年3 月の東京電力福島第一原子力発電所の事故以降に福島県内全域から採取した土性の異なる土壌について、ゲルマニウム半導体検出器とNaI シンチレーションカウンター(LUDRUM MODEL 3 以下省略)の測定結果に高い正の相関関係が認められる(図1)。
- 一定の重量および形に成形した土壌試料をNaI シンチレーションカウンターで測定することにより、土壌中の放射性セシウム134 および137 の合計値を推定できる。
- 各種条件を検討し、最も適する簡易測定方法は以下に示すとおりである。
- ほ場から土壌を採取し、均一になるようによく混和する。
- 土壌1kg をフリーザーバック等へ入れて15cm×25cm×2cm の板状に整形する(図2)。
- NaI シンチレーションカウンターで測定地点のバックグラウンドと土壌(板状の中央)の線量を測定する。
- バックグラウンド測定
測定場所に検出器を置き、30 秒後の値を読む。
- 土壌測定
土壌中央部の5×15cm を5×5cm の3カ所に分け、それぞれに測定器を当てて30秒後の値を読み、その平均値を土壌測定値とする(図3)。
- 散布図で得られた回帰式に当てはめて推定する。
y=92.5x+200
y:土壌中の放射性セシウム(Bq/kg FW)
x:{(土壌測定値)−(バックグラウンド値)}(cps)
- 土壌の水分を求め、乾土当たりの値(Bq/kg DW)を算出する。
[成果の活用面・留意点]
- 本測定法は、土壌中放射性セシウム濃度がイネの作付け基準5,000Bq/kg 以下かどうかの推定に活用できる。
- 本測定法で推定する核種は、セシウム134+137 の合計値とする。
- 本測定法には、校正されたLUDRUM MODEL 3 を用いる。他機種を使用する場合は、新たに回帰式を作成する。
- 土壌の種類によらず、推定式を当てはめることができる。
- 測定のバックグラウンドが低い場所を選ぶ(100cps 以下の場所、例:鉄筋2階等)。
- 推定値の95%信頼区間(標準誤差×1.96)は、±660Bq/kg になる。
[具体的データ]



[その他]
- 研究課題名
- 土壌中の放射性物質の簡易測定
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2011 年
- 研究担当者
- 根本知明、小野勇治、二瓶直登、藤村恵人、鈴木安和、佐藤睦人