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粒厚別原料米の乾式・気流粉砕による製粉及び製麺特性

[要約]

粒厚が小さい原料米ほど米粉の粒径は小さくなり、米粉麺加工時には色や食感等の品質が低下する。全量(粗玄米:粒厚1.90mm 未満を約4.0%含む)を精米し気流粉砕したものは、粒厚1.90mm 以上のものと比較して、製粉及び製麺特性に大差はない。

[キーワード]

米粉、米粉麺、篩下米、粒厚、気流粉砕

[担当]

山形県農業総合研究センター・農産加工開発部

[代表連絡先]

電話 023-647-3500

[区分]

東北農業・基盤技術(流通加工)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

全国的に米粉利用が進められているが、コストが高い、加工が難しいなど課題も多い。そこで、米粉コスト低減につなげるために、玄米選別作業工程の省力や篩下米の有効利用をねらいとして、粒厚区分ごとにみた原料米の品質が、米粉の製粉特性や製麺特性に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 玄米を粒厚で篩い分けした後に精米し、乾式・気流粉砕した場合、粒厚が小さい原料米ほど米粉の色調はL*値(明るさ)が低下する。また、粒厚が小さい原料米ほど米粉の粒径は小さくなるが、各区間のデンプン損傷率の差は小さい。熱糊化特性は、最高粘度、最終粘度ともに、粒厚が小さいほど低下する。粒厚が小さいほど精米時に砕けやすいため、糠層の除去が難しく、精米歩合は低くなるが真精米歩合は高くなる(表1)。
  2. 粒厚区分ごとの米粉で製造した米粉麺は、粒厚が小さいほど茹で溶けが多くなる。また食味官能評価は、粒厚1.90mm 以上区と比較して、粒厚が小さいほど各項目の評価は低下していく(表2)。特に外観色調は、粒厚が小さいほど黄灰色を帯びる(図1)。
  3. 全量(粗玄米)を約90%精米し製粉したものは、粒厚1.90mm 未満の割合が約4.0%の場合、製粉の色調や粒径、熱糊化特性などの製粉特性に1.90mm 以上区(精玄米)と大差はない(表1)。またこの米粉を用いて加工した米粉麺についても、1.90mm 以上区と全量区は同程度の品質となる(表2図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 玄米選別作業工程を省力した全量利用は、粒厚選別のライン(共同乾燥調整施設など)を経ないような、小規模で精米・製粉する場合に有用な知見となる。全量利用時は粒厚1.90mm 未満の割合を確認し、4.0%を超えるような場合はその割合に応じて品質の低下が心配されるので注意する。
  2. 原料は、山形県農業総合研究センター平成22 年産「はえぬき」を使用し、全量(粗玄米)利用のもの、粗玄米を4段階の篩目にて各粒厚ごとに選別したもの、それぞれを真精米歩合が1.90mm 以上区と同程度(91.3%)となるよう精米した。その後、旋回気流式微粉砕機(且R本製作所製)を用い、粗割りモーター50Hz(電流値を約0.56A に調節)、主モーター45Hz に設定し、洗米無しで製粉を行った。
  3. 製麺は、増粘多糖類としてアルギン酸エステル(潟Lミカ「昆布酸542」)を米粉重量(乾物換算)の1%添加し、沸騰水を加えて攪拌した後、押し出し式製麺機(アベ技研製)で製麺した。加水量は、麺水分が38%となるよう調整した。
  4. 米粉の一般生菌数は、粒厚が小さいほど多くなる傾向が見られる(表3)。生麺製造直後はどの区でも衛生規範内の生菌数であったが、保存に伴う菌数増加など衛生管理に留意する必要がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
県産米利用促進のための米粉生産・加工技術の開発
予算区分
県単
研究期間
2009〜2011 年度
研究担当者
勝見直行、佐々木恵美