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ナツハゼの抗インフルエンザウイルス作用
[要約]
ブルーベリー類にはインフルエンザウイルス吸着阻害活性があり、総ポリフェノール含量と高い相関がある。中でもナツハゼの活性は高く、株が異なるインフルエンザウイルスに対しても吸着阻害活性を有し、加熱をしてもその効果は失われない。
[キーワード]
ナツハゼ、ブルーベリー、インフルエンザウイルス、吸着阻害活性
[担当]
福島農総セ・流通加工科
[代表連絡先]
電話024-958-1719
[区分]
東北農業・基盤技術(流通加工)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
ナツハゼはツツジ科スノキ属に属し、国産野生種ブルーベリーとも呼ばれている。ナツハゼはアントシアニン等のポリフェノール含有量が高く、抗酸化活性が高いことが明らかにされ、その機能性が注目されている。福島県においても地域特産品として利用されており、今後の利用拡大が期待されている特産品のひとつである。
本研究では、ナツハゼの新たな機能性としてインフルエンザウイルス吸着阻害活性について注目し、福島県立医科大学微生物学講座と共同でブルーベリーとの比較や果汁の採取方法、加熱の有無などについて検討を行った。
[成果の内容・特徴]
- 県内で栽培されたブルーベリーおよびナツハゼのインフルエンザウイルス吸着阻害活性は、最終濃度3%果汁においては、ナツハゼではほぼ100%、ラビットアイ系のブルーベリーやエリオットでは80%前後であり、高い確率でウイルスの感染を阻止する(図1)。
- ブルーベリー類のインフルエンザウイルス吸着阻害活性と総ポリフェノール含量には正の相関があり、活性を示す成分はポリフェノールである可能性がある(図2)。
- ナツハゼのインフルエンザウイルス吸着阻害活性は、最終濃度10%ではすべての株で100%の阻害活性があるが、最終濃度3%および1%では株によって活性が異なる(図3)。
- 加工方法によってナツハゼ果汁のインフルエンザウイルス吸着阻害活性は異なるが、おおむねポリフェノール含量と同じ傾向を示す。また、130度C30 分の加熱によっても活性は大きく失われない(図4)。
[成果の活用面・留意点]
- ナツハゼを用いた加工品を開発する際の参考となる。
- インフルエンザウイルス吸着阻害活性は、上気道への感染を想定し、培養細胞にウイルスを感染させる方法で評価しているが、ヒトでの効果は確かめていない。
- インフルエンザウイルス吸着阻害活性は中和した果汁でも確認されており、活性は酸の影響によるものではないと考えられる。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- 地域特産物の加工技術開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2010〜2011年度
- 研究担当者
- 関澤春仁