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牧草地の耕うんによる放射性セシウムの吸収抑制

[要約]

牧草地における放射性物質の低減を[要約] 図るため、プラウによる反転耕後にロータリー耕により砕土・整地を行うことで、表層土壌中の放射性セシウムを84 〜 95 %低減できる。また、耕うん後に播種した牧草の放射性セシウム濃度は、無処理区に対して85 %低減する。

[キーワード]

放射性物質、草地更新、プラウ、反転耕、リター

[担当]

福島県農業総合センター畜産研究所

[代表連絡先]

電話024-593-4159

[区分]

東北農業・畜産

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

東京電力福島第一原子力発電所の事故により県内の牧草地にも大量の放射性物質が降下し、多くの地域で、その後に収穫された牧草から暫定許容値を超える放射性セシウム(以下、放射性Cs)が検出された。そこで、牧草地における放射性Cs の低減を図り安全な牧草を生産するため、草地更新等の処理が、放射性Cs の土壌中分布及び牧草への移行に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. プラウによる反転耕後、ロータリーの浅がけにより砕土・整地を行うことで(プラウ耕+ロータリー耕)、表層土壌(0〜5 cm)の放射性Cs は、無処理区に対して84 〜 95%低減する(表1図1)。
  2. ロータリー耕のみでは、表層土壌(0〜5 cm)の放射性Cs は、無処理区に対して57〜 74 %低減する(表1図1)。
  3. 芝刈り用機械(amazone 製グランドキーパー)によりリター層を除去することで、表層土壌(0〜5 cm)の放射性Cs は、無処理区に対して63 %低減する(表2図1)。
  4. 二番草収穫後、プラウ等により耕うんし播種(草地更新)した牧草の放射性Cs 濃度は、無処理区(再生草及び自然下種による新播草)に対して、プラウ耕+ロータリー耕区で85 %、ロータリー耕区で87 %低減する(表3図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 汚染された牧草地における放射性Cs の牧草への吸収抑制技術として、プラウ耕+ロータリー耕及びロータリー耕による草地更新は有効である。
  2. リター除去による放射性Cs 低減効果が認められ、プラウ耕等と組み合わせて実施することで、表層土壌中の放射性Cs はより効果的に低減できると推察される。
  3. 耕起深土内から水が出るような地下水位が高い牧草地においては、反転耕による草地更新は実施すべきではない。
  4. 機械によるリター除去は、ほ場が乾燥した状態で実施すると粉塵が巻き上がりやすいため雨後または散水後に実施するのが良い。
  5. 今回調査した牧草の放射性Cs 濃度は、冬季の草丈20 〜 55cm で測定したものであり、一番草収穫時に再調査することが必要である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
草地更新等による放射性物質の低減効果
予算区分
県単
研究期間
2011 年度
研究担当者
松澤保、武藤健司、吉田安宏