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低アミロースで良食味の巨大胚水稲新品種候補「東北胚202 号」の育成

[要約]

「東北胚202 号」は中生の晩の粳種で、稈長、収量が「ひとめぼれ」並、耐冷性が“極強”、耐倒伏性は“中”である。玄米品質はやや劣るが、胚芽が大きく、玄米中のGABA含量が高い。アミロース含有率が低く、「たきたて」に近い粘りがあり、良食味である。

[キーワード]

イネ、東北胚202 号、低アミロース、巨大胚、耐冷性、良食味

[担当]

宮城県古川農業試験場・作物育種部

[代表連絡先]

電話0229-26-5105

[区分]

東北農業・作物(稲育種)

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

飼料用米や米粉用米など米の用途拡大に向けた様々な取り組みが進められている。巨大胚をもつ水稲品種は、胚芽に含まれる脂質や機能性成分を活かして、発芽玄米や加工用米飯の素材として用いられ、さらに、製油歩留まりの高い米油の原材料としての利用が期待されている。しかしながら、積極的な栽培特性や食味の改良が行われていないため、栽培特性に優れた良食味の巨大胚水稲品種が求められていた。そのため、食味を改善するために低アミロース性で栽培特性に優れた巨大胚水稲品種を育成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 中生の低アミロースの巨大胚水稲品種を目標として、低アミロース品種「たきたて」を母、巨大胚糯品種「北陸糯167 号(めばえもち)」を父として、2002 年に交配し、その後代を選抜、固定を図ってきた系統である(表1)。
  2. 胚芽が大きく、2011 年産玄米では、胚芽長は「ひとめぼれ」の1.3 倍、胚芽重は2.9倍である。玄米中GABA 含量は7.0mg/100g で、「ひとめぼれ」の3.5 倍である(表1)。
  3. 白米のアミロース含有率が6 年平均で10.9%と「ひとめぼれ」の19.4%と比べて低い(表1)。
  4. 白米の食味は、外観が劣るが、「たきたて」に近い粘りがあり、「げんきまる」並の良食味である。白米とブレンドした場合の発芽玄米の食味は、ブレンド比率を上げると、外観が低下し、硬さが増すが、「げんきまる」の発芽玄米と比べて、粘りが強く、総合値が高い(表2)。
  5. 出穂期は、「ひとめぼれ」、「たきたて」より1〜3 日遅く、成熟期は「たきたて」より2 日程度遅い。東北中南部では、中生の晩である(表1)。
  6. 稈長は「たきたて」よりやや短く、「ひとめぼれ」並、穂長は「たきたて」、「ひとめぼれ」よりやや長く、穂数は「ひとめぼれ」並、草型は、“偏穂数型”である。耐倒伏性は、“中”で「ひとめぼれ」にやや優る(表1)。
  7. 玄米収量は、標肥栽培で「ひとめぼれ」並、多肥栽培で増収するが、「たきたて」、「まなむすめ」より劣る。千粒重は、「ひとめぼれ」、「たきたて」並である(表1)。
  8. 玄米は白濁し、玄米品質は、腹白粒を生じ、「たきたて」よりやや劣る“中上”である(表1)。
  9. 耐冷性は“極強”で、いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pii”と推定され、いもち病圃場抵抗性は、葉いもちが “中”、穂いもちが“やや弱”である。穂発芽性は、“やや難”である(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 普及対象 発芽玄米加工業者の契約栽培生産者 等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 東北地域以南に200ha
  3. その他

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
水稲新品種の開発
予算区分
指定試験(2002〜2010 年度)、県単(2011 年度)
研究期間
2002〜2011 年度
研究担当者
遠藤貴司、早坂浩志、佐伯研一、酒井球絵、永野邦明、千葉文弥、佐々木都彦、我妻謙介
発表論文等
平成24 年度品種登録出願予定