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堆肥と窒素単肥の組み合わせによる飼料用米の省力・多収栽培

[要約]

水稲品種「ふくひびき」、「べこあおば」では、乳苗移植栽培や湛水直播栽培で、牛糞堆肥(0.2 t/a)と窒素単肥(1.4 kg N/a 前後)を組み合わせた多肥栽培によって 80 kg/a以上の収量(粗玄米重)を安定して得られる。

[キーワード]

飼料用米、湛水直播、乳苗移植、堆肥、窒素単肥

[担当]

山形県農業総合研究センター・土地利用型作物部

[代表連絡先]

電話023-647-3500

[区分]

東北農業・作物(稲栽培)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

近年栽培面積が増加している飼料用米栽培においては低コストと多収の両立が求められるが、現地における単収水準は必ずしも高くないのが現状である。そこで低コストと多収を目的として、寒冷地に適した専用品種を用い、堆肥と単肥で肥料コストを節減し、乳苗や直播を活用して労働量を軽減することが可能な飼料用米栽培法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 水稲品種「べこあおば」、「ふくひびき」の乳苗移植栽培、湛水直播栽培において、牛糞堆肥0.2 t / a を施用し化学肥料の施用は窒素単肥のみとする場合、総窒素施肥量を1.4 kg N/a 前後とし、基肥を0.7〜0.9 kg N/a、残り(0.6 kg N/a)を幼穂形成期、出穂15日前、穂揃期に0.2 kg N/a ずつ分施することによって80 kg/a 以上の収量(粗玄米重)を得られる(表1)。乳苗移植では、雑草抑制のために深水栽培を行っても上記の収量を得られる。
  2. 上記収量(85〜90 kg/a)のための窒素吸収量の目安は7月上旬(幼穂形成期)に乳苗移植0.7〜0.8 kg N/a、湛水直播0.4〜0.5 kg N/a、穂揃期に1.1〜1.3 kg N/a、成熟期に 1.5〜1.7 kg N/a 程度で、品種間差は小さい(図1)。
  3. 「ふくひびき」は苗立ちや茎数増加が「べこあおば」よりも良好であるが、両品種の収量には大きな差はない(表1表2)。しかしながら、「べこあおば」はシンク容量が大きく、登熟期間の条件(気象条件や実肥、落水時期の延期等の管理)によっては収量が高まる可能性がある(図2)。
  4. 乳苗移植(深水栽培)と湛水直播の間では、茎数の増加が乳苗移植の方が速やかであるが、収量は同等となる(表1表2)。同様に、湛水直播において基肥の一部を側条施肥で与えた場合や堆肥施用を行った場合にも、それぞれ基肥を全層施肥のみで与える場合や堆肥無施用の場合と比べて茎数の増加が促進されるが、収量は同等となる(表1)。以上から、生育経過は品種や栽培管理によって異なる経過をたどるが、上記の施肥量において収量は安定する。

[成果の活用面・留意点]

  1. 上記条件では出穂後積算気温1,800度Cまで立毛乾燥しても倒伏はほとんどなく、立毛乾燥を行うことが可能である。目安として、山形県では出穂後積算気温1,400度C前後で籾水分が20%まで低下する。
  2. 堆肥0.2 t/a の施用は、窒素単肥での栽培において堆肥がリン酸とカリの主要な給源となることを想定しているが、連年施用による土壌養分の蓄積に留意する。
  3. 施肥量はダイズ後作等の復元田では適宜減ずることができる。一方、堆肥無施用の場合、必要に応じてリン酸とカリを補う。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
寒冷地における直播活用等による飼料用米低コスト多収生産技術の確立
予算区分
受託(国産飼料プロ、えさプロ)
研究期間
2009〜2011 年度
研究担当者
松田 晃、浅野目謙之、遠藤昌幸