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ロールキャリアと自走式ロールベーラによる稲わら収集運搬作業の効率化

[要約]

水稲収穫後の稲わらの収集運搬作業時に、自走式ロールベーラにロールキャリアを装着し、収集と同時にベールを運搬すると、ベールグラブによる運搬作業距離が約45%短縮できる。これにより、運搬作業の作業時間は約34%減少し、燃料消費量は約27%減少する。

[キーワード]

稲わら、収集運搬、ロールキャリア、自走式ロールベーラ

[担当]

秋田農技セ農試・生産環境部

[代表連絡先]

電話018-881-3330

[区分]

東北農業・基盤技術(作業技術)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

秋田県では、晩秋の天候が不順で軟弱ほ場が多く、自脱型コンバイン収穫後の稲わらは収集が難しく、ほ場へのすき込みが主体で積極的に活用されていない。この稲わらを有効利用するには、少ない好天時に効率的に収集運搬する必要がある。一方、飼料イネ収穫運搬作業では、ほ場内でのベール運搬作業を効率化するため、専用収穫機に装着するロールベール運搬装置(ロールキャリア(参照URL:http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010008210))が開発され、その効果が明らかになっている。

そこで、稲わら収集作業に地耐力が低い軟弱ほ場に対応できる自走式ロールベーラとベールのほ場外への運搬作業にトラクタに装着されたベールグラブを用いた収集運搬体系の効率化を目的として、自走式ロールベーラにロールキャリアを装着し、その有効性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. ロールキャリアは、自走式ロールベーラ後部に装着した取付けステーにより、接続される構造である。ロールキャリアからのベール排出は、キャビン内に配置した排出レバーにより、半自動的に荷降ろしできる(図1)。
  2. ロールキャリアを装着した自走式ロールベーラは、収集作業と同時にベールを運搬するため、ベール配置を任意に変更することが可能である。これにより、ベールグラブによる運搬作業に有利な搬出側畦畔に寄せることができる。ベール1 個当たりに要する運搬作業の運搬作業距離は平均98m/個となり、ロールキャリアを用いない場合に比べ、平均で45%程度有意に減少する(図2)。
  3. 収集作業にロールキャリアを用いることで、ベール1 個当たりに要する運搬作業の作業時間、燃料消費量は、それぞれ60、62s/個、0.14、0.17L/個となる。ロールキャリアを用いない場合に比べ、平均で34%、27%程度減少する(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 収集運搬作業体系は、反転(テッダ)→集草(レーキ)→収集梱包(ロールベーラ)→運搬(トラクタ、ベールグラブ)→ラッピング→搬出(ホイルローダ、トラック)である。収集作業と運搬作業には、自走式ロールベーラ(S社JRB3010 型)とロールキャリア(R 社)、トラクタ(N 社T4030SMC-4 型、低圧ツインタイヤ)とベールグラブ(M 社BGII-T070 型)を使用した。試験ほ場区画は、長辺150m、短辺80m の1.2ha である。
  2. 接続部の高さを自走式ロールベーラに対応させるため、市販のロールキャリアに試作の荷受けガイドを取り付けている。
  3. 軟弱ほ場では、ベール(約300kg)運搬時に走行に支障をきたす場合がある。なお、試験ほ場は、矩形板沈下量(20mm×100mm、30kgf で加圧)が10mm の時のロールキャリアの踏圧深は24mm、自走式ロールベーラの踏圧深は13mm である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
稲わら収集運搬システムの確立
予算区分
受託
研究期間
2010〜2011 年度
研究担当者
齋藤雅憲、進藤勇人、片平光彦(山形大農)、加藤良成(秋田農業公社)、山谷正治(秋田農業公社)、元林浩太(中央農研)