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イネばか苗病の多発ほ場が周辺ほ場の種子保菌に及ぼす影響は200m付近までに急激に減少する

[要約]

イネばか苗病多発ほ場の周辺ほ場から採取した種子の保菌状況は,多発ほ場から200m 付近までに指数関数的に減少する。また,100m までは多発ほ場からの距離をもとに周辺ほ場の種子保菌に及ぼす影響を推定可能である。

[キーワード]

イネ、ばか苗病、胞子飛散距離、徒長苗率、水稲種子生産

[担当]

宮城古川農試・作物保護部、青森農林総研・病虫部

[代表連絡先]

電話0229-26-5108 電話0172-52-4314

[区分]

東北農業・基盤技術(病害虫)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

近年イネばか苗病の発生面積が増加傾向にある。一般水田における本病の多発が各地で散見され、種子生産ほ場における健全種子生産への影響が懸念されている。本病は種子伝染性病害であり、本病発病イネ株からの胞子飛散による種子保菌が主要伝染経路である。

そこで、多発ほ場からのイネばか苗病菌胞子の飛散が周辺ほ場における種子の保菌に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. イネばか苗病多発ほ場の周辺ほ場から採取した種子を育苗した場合の徒長苗率は多発ほ場からの距離と関係があり、200m 付近までに指数関数的に減少する。これは、宮城県と青森県で同様の傾向が認められる(図1)。
  2. ばか苗病多発ほ場を起点とした0〜100m 地点では、多発ほ場からの距離と徒長苗率の間にy=100e-0.031x(y:相対徒長苗率、x:多発ほ場からの距離)の関係が成り立ち、この回帰式を用いることで多発ほ場からの胞子飛散による周辺ほ場の種子保菌に及ぼす影響を推定できる(図2)。
  3. 100m 以降で採取した種子の徒長苗率は変動する(図3)。これは多発ほ場からの距離以外に風向や地形,そのほ場や近隣のほ場に元々発病株が存在しているなど,その他の要因が関与していると推察される。

[成果の活用面・留意点]

  1. ここでのイネばか苗病多発ほ場とは、農作物有害動植物発生予察事業調査実施基準による発生程度“中”以上(発病株率で6%以上)のほ場を示す。
  2. 種子の保菌状況は育苗試験による徒長苗率で評価している。ここでの徒長苗率とは、多発ほ場から距離別に採取した種子を水選(比重1.0)して育苗試験に供した場合の徒長苗率であり、多発ほ場(0m 地点)の徒長苗率を100 とした相対徒長苗率である。
  3. 多発ほ場が認められた場合、周辺ほ場で採種を行うかどうかを判断する目安として活用できる(図2)。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
(宮城)イネばか苗病多発ほ場からの胞子飛散距離の推定
(青森)イネばか苗病多発圃場の周辺圃場からサンプリングした種子の発病状況
予算区分
県単(両県別個予算)
研究期間
(宮城)2005〜2006 年度 (青森)2006〜2007 年度
研究担当者
鈴木智貴(宮城古川農試)、畑中教子(宮城古川農試)、笹原剛志(宮城古川農試)、倉内賢一(青森農林総研)
発表論文等
畑中ら(2007)北日本病害虫研究会報 58:25-29
畑中教子(2009)植物防疫 63(3):131-134