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牧草種フェストロリウムはアカスジカスミカメの発生源となる

[要約]

アカスジカスミカメはフェストロリウムの穂に産卵する。フェストロリウムを栽培したほ場では出穂後に成虫が発生し,その後はイタリアンライグラスほ場と同様に若齢〜老齢幼虫が確認される。

[キーワード]

フェストロリウム,イタリアンライグラス,アカスジカスミカメ,産卵,発生消長

[担当]

宮城県古川農業試験場・作物保護部

[代表連絡先]

電話0229-26-5108

[区分]

東北農業・基盤技術(病害虫)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

フェストロリウムはライグラス類の多収性,良質性に加えフェスク類の永続性や越冬性,越夏性を結合させた多年生牧草であり,東北地方において今後転作牧草としての普及が見込まれる。

フェストロリウムはライグラス類とフェスク類の属間交雑種であり,穂の形など形態的な特徴がイタリアンライグラスと類似している。このことからイタリアンライグラスと同様に,アカスジカスミカメの発生源となる可能性がある。そこで,フェストロリウムにおけるアカスジカスミカメの産卵と発生消長を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. アカスジカスミカメ雌成虫にフェストロリウムの穂を与えた場合の産卵数は,イタリアンライグラスの穂を与えた場合と同様である(図1)。
  2. フェストロリウムを栽培したほ場では,出穂後に成虫が発生し(図2),その後はイタリアンライグラスほ場と同様に若齢〜老齢幼虫が確認される(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. フェストロリウムを栽培する場合,イタリアンライグラスと同様にアカスジカスミカメの発生源対策を行う必要がある。
  2. 産卵試験は,試験管の中に牧草の穂1本と羽化後5〜10 日のアカスジカスミカメ雌成虫1頭を放飼し,24 時間後の産卵数を各草種10反復調査した室内実験である。
  3. 本試験で使用した品種は,イタリアンライグラスでは「ワセアオバ」,フェストロリウムでは「バーフェスト」である。試験ほ場は2009 年調査では同年3月に,2010 年調査では2009年10月に播種している。
  4. カスミカメムシ類成虫の発生状況(第1表)から,2009 年は7月中旬以降,2010 年は7月下旬以降に確認された幼虫はアカスジカスミカメが主体であると考えられる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
大規模輪作水田における環境負荷軽減のための主要病害虫制御技術の開発
予算区分
県単
研究期間
2009〜2010年度
研究担当者
大槻 恵太、鈴木 智貴、加進 丈二、小野 亨(宮城古川農試)
発表論文等
大槻ら (2011) 北日本病害虫研究会報 62:199-203