研究所トップ研究成果情報平成23年度

籾がら培地と肥効調節型肥料を利用したイチゴ「なつあかり」の低コスト高設栽培

[要約]

イチゴ「なつあかり」の越年苗春定植による夏秋どり高設栽培では、培地に籾がらを利用し、基肥にロングトータル180日タイプを窒素成分で株当たり3gとようりんを株当たり5g施用し、安価な灌水タイマーを用いて1日8回以上の灌水を行うことにより、低コスト栽培が可能である。

[キーワード]

イチゴ、なつあかり、高設栽培、籾がら、肥効調節型肥料

[担当]

青森県産業技術センター・農林総合研究所

[代表連絡先]

電話0172-52-2510

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

籾がらを培地として利用し、肥効調節型肥料を施用して灌水のみを行う高設栽培は、低コストで簡易な栽培方法である。本栽培方法におけるイチゴ「なつあかり」の越年苗春定植による夏秋どり栽培について、適正な灌水方法と施肥方法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 灌水は掛け流し方式とし、1日8回以上の多回数灌水を行う。定植直後の灌水は、生育の遅延を防ぐため、1回の灌水量を株当たり50mlと多くする(表1)。定植後10日以降は、1回の灌水量を市販培地より少なくしても可販果収量の減少はなく、市販培地による養液栽培と同量の総灌水量で栽培が可能である(図1)。
  2. 肥料は定植時に植え穴に肥効調節型肥料とようりんを全量施用し、籾がらと軽く混和する。株当たりの施用量はロングトータル180日タイプを窒素成分で3g(現物で23g)、粒状20ようりんを現物で5gとすると収量が多く、可販果収量は3000kg/10a程度で市販培地による養液栽培と同等以上である(図1)。
  3. 本栽培法は培地にかかるコストを削減でき、液肥混入器などの給液装置が不要で、数万円の安価な灌水タイマーのみで栽培が可能である(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果の収量結果(2011 年)は、株間20cm、条間10cm、2条植え、うね幅120cm(8333 株/10a)で、芽数を株当たり2芽に管理して得た結果である。籾がらは前年秋に発生し屋内保存したものを用いて、定植直前に十分水洗いしてから栽培ベッドに充填し、マルチングは行っていない。点滴チューブは10cmピッチのものを使用し、条間に配置している。
  2. 培地に使用する籾がらは、栽培ベッドに応じて株当たり2L以上使用する。
  3. 定植は、苗の根鉢が点滴チューブの灌水孔の真下に位置するように行う。
  4. 株当たり肥料成分量は、窒素3.0g、リン酸3.5g、カリ3.0g、石灰1.8g、苦土1.1gである。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
寒冷地に適応した低コスト太陽光利用型植物工場の開発
予算区分
地域イノベ
研究期間
2010〜2011年度
研究担当者
齋藤雅人、今井照規