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アスパラガス伏せ込み促成栽培11 月生産技術

[要約]

アスパラガスの根株を茎葉付で9 月下旬に掘り取り、2 週間の黄化処理を行う。その後、5度C12 日間の低温処理を実施したのちに伏せ込むことにより、11 月上旬からの収穫が可能であり、11 月に1 株あたり80〜90g 程度の収量が得られる。

[キーワード]

早期黄化処理、低温処理、休眠、端境期生産

[担当]

岩手県農業研究センター・技術部・野菜花き研究室

[代表連絡先]

電話0197-68-4420

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

冬期間のアスパラガスは伏せ込み促成栽培により生産されるが、高い収量を得るためには、茎葉の黄化による養分転流と低温遭遇による休眠打破が必要である。そのため、茎葉の黄化と休眠打破が間に合わない11 月の国内生産はほとんど行われていない。そこで、人為的に早期に茎葉を黄化させる手法と、低温処理による休眠打破技術を組み合わせ、アスパラガス伏せ込み促成栽培11 月生産技術の確立を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 茎葉を刈り取らない状態でアスパラガスの根株を掘り取り、2 週間程度ほ場内に置くことにより茎葉部が黄化し、貯蔵根のBrix 糖度が上昇する(表1)。
  2. 5度Cの冷蔵施設を利用した場合、十分に休眠打破させるためには、12 日以上の処理が必要である(図1)。
  3. 11 月生産を行う場合、根株の掘り取り時期は9 月下旬が最も適している。これより早いと根株重が小さいため収量が低く、遅いと11 月収量が低下する(表2)。
  4. 11 月生産に適した品種は「ウェルカム」である(表2)。
  5. 本生産技術の場合、総収量と粗収益は慣行体系と同等である(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 11 月の収量を確保するため、茎葉の黄化が順調に行かない場合であっても、10 月上旬には低温処理を開始する。
  2. 本試験で試算した11 月単価は輸入品の単価であるが、過去に国産品が11 月下旬に販売された例では、12 月の1.5〜2 倍の単価であった。
  3. 伏せ込み床は16度Cに設定して試験を実施した。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
寒冷地特性を活用しアスパラガスの周年供給を可能とする高収益生産システムの確立
予算区分
実用技術
研究期間
2009〜2011 年度
研究担当者
山口貴之、高橋拓也、藤尾拓也