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穀粒が濃い黄色で大きい短稈・多収あわ新品種「ゆいこがね」
[要約]
「ゆいこがね」は、岩手県で栽培されている在来種よりも耐倒伏性に優れ、粒色の黄色味が濃く、大粒の多収品種である。鮮やかな粒色を活かした菓子等の雑穀商品への活用が期待される。
[キーワード]
糯あわ、黄色い穀粒、大粒、多収、短稈
[担当]
岩手県農業研究センター・県北農業研究所
[代表連絡先]
電話0195-47-1070
[区分]
東北農業・畑作物(品種)
[分類]
過年度普及成果情報(2012年度)
[背景・ねらい]
国内あわ生産量の61%(2011年産)を占める岩手県では、白い穀粒の糯あわ「大槌10」が主に栽培され、米との混合炊飯用として広く利用されている。一方、関東以西の製菓業者等からは黄色い糯あわが強く求められている。そこで、穀粒が黄色で大きく、短稈・多収の糯あわ新品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
- 「ゆいこがね」は、穀粒が黄色で大粒の粳あわ在来種「仁左平在来」を母、穀粒が白くて多収の糯あわ「大槌10」を父として2005年に実施した人工交配から育成された品種である。
- 胚乳形質は“糯性”で、穀粒色は現行の黄色で糯あわの在来種「平」よりも黄色味が鮮やかで濃い(表1、図1、2)。
- 千粒重は「平」、「大槌10」より重く、「仁左平在来」よりも軽い(表1)。
- 稈長は「平」より長いが、「仁左平在来」、「大槌10」よりも短い。穂は「平」より短いが太い“円筒型”で、下垂する(表1)。
- 収量は「平」に比べて32%多収で、「大槌10」並みからやや多い。(表1)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:岩手県内生産者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:
普及予定面積・35ha(2007〜2011年の岩手県内あわ栽培面積平均値の50%)
- その他:
- 現行在来種「平」よりも倒伏しにくいが、施肥量は現行品種並みの窒素成分量4kg/10aを基準とする。
- 粳あわ花粉によるキセニア、白い糯あわの混入を回避するための対策(団地化、乾燥・調製時の混入防止策)が必要である。
- 耐虫性については現行品種並みと考えられる。
[具体的データ]
(岩手県農業研究センター)
[その他]
- 研究課題名
- いわて雑穀生産・販売戦略を支援する品種開発と持続的安定生産技術の確立
(1000)加工・栽培特性に優れた雑穀オリジナル品種の開発と雑穀遺伝資源の収集・評価・保存
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2007〜2012年度
- 研究担当者
- 仲條眞介
- 発表論文等
- 1) 仲條ら(2007)東北農業研究60:51-52
- 2) 仲條ら(2008)雑穀研究23:1-8
- 3) 品種登録出願公表28551(2014年2月5日)