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平成25年岩手県産小麦の雨害による品質低下
[要約]
平成25年岩手県産小麦は、収穫適期に連続して降雨が続き、収穫時期が遅いほど、雨害による「たい色粒」「発芽粒」「黒かび粒」等の被害粒の増加により外観品質が低下し、容積重も低下する傾向が見られた。また、デンプン粘度の低下も見られた。
[キーワード]
小麦、品質低下、たい色粒、発芽粒、黒かび粒
[担当]
岩手県農業研究センター技術部作物研究室
[代表連絡先]
電話0197-68-4417
[区分]
東北農業・畑作物(畑作物栽培)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
平成25年岩手県産小麦は規格外の割合が27.5%と過去10年で最も高くなったことから、その要因を整理し、今後の技術対応の資とする。
[成果の内容・特徴]
- 収穫適期の気象条件と小麦品質の低下
- 岩手県内の小麦は6月第6半旬から成熟期に達したが、北上市では7月上旬から中旬にかけて降雨が連続し、収穫が遅れた(図1)。
- 雨害により「たい色粒」「発芽粒」「黒かび粒」「赤かび粒」等の被害粒が発生し、「整粒不足」「形質」「発芽粒」「黒かび粒」「赤かび粒」等の格付理由により落等した。
- 雨により収穫が遅れ、デンプン粘度が低下した小麦が発生した(図2)。
- 被害の特徴
- 収穫時期が遅れるほど、各品種とも白度が高まり、「たい色粒」が増加した(図3)。
- 収穫時期が遅れるほど、各品種とも「発芽粒」が増加した。発芽粒の発生には品種間差があり、穂発芽性が「難」である「銀河のちから」は、本年のような条件下でも発芽粒の混入が7月中〜下旬においても低いレベルで抑えられた(図3)。
- 収穫時期が遅れるほど、各品種とも黒かび粒の混入が増える傾向がみられた(図3)。
- 赤かび病は6月中旬調査時点で発生が少なく(病害虫防除所調査結果)、赤かび病菌により生成されるDONは例年に比べ検出値が低かったことから、本年の場合は、降雨により収穫が遅れたため雑菌が付着し、赤色の色素を産生したことで発生したものと推察される。
- 各品種とも7月上旬収穫に比べ、7月中旬収穫で容積重が低下する傾向が見られた(図4)。
[成果の活用面・留意点]
- 気象及び生育経過等は作況・奨決現地試験(北上、軽米、一関、矢巾)のデータを用いている。
- 小麦の収穫適期は梅雨期に重なるため、排水対策を徹底し、多少の雨があった後でも収穫作業が実施可能なほ場づくりを行う必要がある。また、収穫適期が近づいたら、穀粒水分をこまめに確認し、適水分に達したら好天を見計らって迅速に刈取りを行うこと、高水分麦は急速乾燥を避けることが重要である。
[具体的データ]
(岩手県農業研究センター)
[その他]
- 研究課題名
- 畑作物の生育相及び気象反応の解明
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2013年度
- 研究担当者
- 小原公則、仲條眞介、高橋智宏