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1-メチルシクロプロペンくん蒸剤のリンゴ主要品種に対する鮮度保持効果
[要約]
1-メチルシクロプロペン(1-MCP)くん蒸剤は、リンゴ主要品種に対して、収穫後の硬度や酸度の低下及び各種果実障害の発生を抑制する効果があるが、品種によっては収穫時期の違いにより障害を助長する場合がある。
[キーワード]
リンゴ、1-メチルシクロプロペンくん蒸剤、鮮度保持、果実障害
[担当]
青森産技セ・りんご研・品種開発部
[代表連絡先]
電話0172-52-2331
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
1-メチルシクロプロペンくん蒸剤(商品名:スマートフレッシュくん蒸剤、以下、1-MCPくん蒸剤と表記)は、エチレンによる成熟・老化作用を抑制する働きがあり、リンゴ等の青果物に対して高い鮮度保持効果を発揮する。しかし、国内のリンゴ主要品種に対する効果は明らかでない。そこで、本剤のリンゴ主要品種に対する鮮度保持効果及び使用上の注意点を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 1-MCP くん蒸剤のリンゴ主要品種に対する鮮度保持効果
- 「つがる」では、硬度及び酸度の低下と油あがりの発生を抑制する(表1)。
- 「紅玉」では、硬度及び酸度の低下、ゴム病及び軟性やけ症の発生を抑制する(表2)。
- 「ジョナゴールド」では、硬度及び酸度の低下と油あがりの発生を抑制する。その効果はCA 貯蔵と同等かそれ以上である(表3)。
- 「王林」では、硬度及び酸度の低下とやけ病の発生を抑制する。その効果はCA 貯蔵と同等かそれ以上である(表3)。
- 無袋「ふじ」では、硬度及び酸度の低下と果心褐変の発生を抑制する。その効果はCA貯蔵と同等である(表3)。
- 有袋「ふじ」では、硬度及び酸度の低下とやけ病及び果心褐変の発生を抑制する。その効果はCA 貯蔵と同等である(表3)。
- 1-MCP くん蒸剤の使用上の注意点
- 「紅玉」では、収穫時期が早い果実に対して、茶星(ジョナサンフレックル)の発生を助長する傾向がある(表2)。
- 無袋「ふじ」では、収穫時期が遅い果実に対して、長期貯蔵後の果肉褐変の発生を助長する傾向がある(図1)。
- 本剤で処理した果実は香気成分の生成が抑制され、風味が低下する(データ略)。
[成果の活用面・留意点]
- 本資料は平成26 年1月17 日現在の農薬登録内容に基づいて作成した。
- 本剤の処理は専門業者に依頼する必要ある。
[具体的データ]




((地独)青森県産業技術センターりんご研究所)
[その他]
- 研究課題名
- 省力・安定生産技術と高品質生産・鮮度保持技術の開発
- 予算区分
- 青森県交付金
- 研究期間
- 2000 〜 2009 年度
- 研究担当者
- 長内敬明、野呂昭司、工藤智、鈴木均、葛西智