研究所トップ研究成果情報平成25年度

リンゴ園でカバープランツ導入による無除草は捕食性ゴミムシ成虫を増加させる

[要約]

シロクローバーを導入して無除草にしたリンゴ園では、慣行防除を行っても捕食性天敵のオオアトボシアオゴミムシ成虫が増加する。

[キーワード]

オオアトボシアオゴミムシ、シロクローバー、無除草、リンゴ

[担当]

秋田果試・リンゴ部

[代表連絡先]

電話0182-25-4224

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

近年、農耕地へのグラウンドカバープランツ導入による天敵相の増強効果が注目されている。畑作ではシロクローバーを導入した無除草栽培によって捕食性ゴミムシ類が増加し、チョウ目害虫による被害の減少が確認されている。リンゴ園でも捕食性ゴミムシ類は、主要チョウ目害虫のモモシンクイガに対して、果実から脱出して地表面に落下した老熟幼虫を捕食するなど、害虫の発生の抑制に重要な役割を果たしている可能性がある。これまで、リンゴ園では主要な捕食性ゴミムシのオオアトボシアオゴミムシ成虫の発生数は防除圧に関連しないことが報告されている。そこで、慣行防除のリンゴ園でもシロクローバーを導入した無除草栽培によってオオアトボシアオゴミムシ成虫が増加するかどうかを調べる。

[成果の内容・特徴]

  1. シロクローバーを導入した無除草区において、ピットフォールトラップに捕獲されるオオアトボシアオゴミムシ成虫数は殺虫剤散布後に減少せず、連続して捕獲される(図1)。
  2. 慣行除草区では、機械除草後にピットフォールトラップに捕獲される本種成虫数が減少する(図1)。
  3. 2009年と2010年のピットフォールトラップに捕獲された本種成虫の週当たり平均個体数は、シロクローバー導入の無除草区が慣行除草区よりも有意に多い(データ省略)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 導入したシロクローバーの優占度を高く維持するため、混在している生育旺盛な雑草(イヌタデ、キシギシ等)は適宜抜き取る。また、園全体にこれら雑草が見られる場合は、早めに草刈機で全面を刈り取り、シロクローバーの優占度を回復させる。
  2. 野ネズミの営巣を避けるため、秋季(9〜10月)に草刈機で全面を刈り取る。

[具体的データ]

(舟山 健)

[その他]

研究課題名
永年作物における農業に有用な生物の多様性を維持する栽培管理技術の開発
予算区分
新たな農林水産政策推進する実用技術開発事業(21036)
研究期間
2009〜2011年度
研究担当者
舟山 健・高橋 功・原 加寿子
発表論文等
Funayama, K. (2014) Appl. Entomol. Zool. 49:183-187.