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液状複合肥料の地表面灌注処理は主なリンゴ園土壌で紫紋羽病を抑制する

[要約]

リンゴ樹の幹回りへの液状複合肥料の地表面灌注処理は、主なリンゴ園土壌の黒ボク土、灰色低地土および褐色森林土でリンゴ紫紋羽病に対して発病抑制効果を示す。

[キーワード]

土壌群、紫紋羽病、液状複合肥料、地表面灌注処理、発病抑制

[担当]

秋田県鹿角地域振興局農林部果樹センター

[代表連絡先]

電話0186-25-3231

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

紫紋羽病はリンゴ生産上極めて重大な影響を及ぼす難防除土壌病害である。現在、有効薬剤を土壌注入器を用いて土壌中に注入する方法が実用化されているが、労力や薬剤費がかさむことから処理の実施が困難となっている。そのため、省力的で低コストな防除技術として液状複合肥料の地表面灌注処理の有効性を黒ボク土を用いて明らかにしたが、リンゴ栽培は黒ボク土のほか、灰色低地土や褐色森林土でも行われている。そこで、本処理の灰色低地土や褐色森林土における発病抑制効果を検討し、主なリンゴ園土壌での有効性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 植え付け、接種5 日後の液状複合肥料10 倍希釈液の地表面灌注処理は、灰色低地土A(灰色低地土:砂壌土)および褐色森林土A(細粒褐色森林土:重埴土)において、黒ボク土(表層多腐植質黒ボク土:壌土)と同様にリンゴ紫紋羽病菌によるマルバカイドウの根の発病を抑制する(表1)。
  2. 植え付け、接種5 日後および21 日後の同処理は、いずれも灰色低地土B(礫質灰色低地土:砂壌土)、灰色低地土C(灰色低地土:軽埴土)および褐色森林土B(細粒褐色森林土:重埴土)、褐色森林土C(中粗粒褐色森林土:砂壌土)において、黒ボク土(表層多腐植質黒ボク土:壌土)と同様にリンゴ紫紋羽病菌によるマルバカイドウの根の発病を抑制する(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本研究で用いた液状複合肥料は、多木尿素有機入り液状複合肥料1 号(登録番号69008、登録昭和60 年10 月25 日、保証成分TN12(AN2)TP12(SP11.5(WP9))TK12(WK11.5)、多 木化学)である。

[具体的データ]

(浅利正義)

[その他]

研究課題名
リンゴ紫紋羽病の根圏土壌微生物制御による防除技術の確立
予算区分
県単
研究期間
2010 〜 2012 年度
研究担当者
浅利正義
発表論文等
浅利正義(2013)日植病報、79(3):150-153